「ここから私の伝説が始まるのね!」
ベラたちを置いてきぼりにし、目をキラキラさせながら語りが続いたが。
「あれ?なんか私、小さくない?」
自分の手を見て違和感を覚えた。
「何時ものスライムじゃ今回は厳しいと思ったポワン様がね」
ポワンが続けて
「今回は緊急事態なので私が子供の姿にしてこちらにこられる様にしました」
それを聞いてかいりは慌て宮殿の入口まで行き。宮殿を囲む泉で自分の顔を
見ると。
「ほんとに子供になってる!」
6歳ぐらいの小さな女の子になっていた。
「見た目は子供だけど技とかは変わらず使えるはずだよ」
追ってきたベラが説明した。
「おお!オートクレールのサイズも変わってる!」
オートクレールを手に取り片手で掲げはしゃいだ。
「改めてベラの護衛を頼めますか?勇者様」
2人から遅れて来たポワンがかいりに尋ねると。
「任せなさい!」
胸を叩いた。
「それじゃあ出発しましょう。準備があるなら村を案内するわ」
ベラにさかせれて宮殿を後にするかいりの背を見て。
「勇者かいり様、どうか妖精の国をお救いください」
ポワンは祈った。
「ホントに氷で出来てる!」
かいりが氷の館を見て感激した。
「無事に着いて良かった…でも、闇が…」
ここまでの道のりで、闇に包まれたモンスター達との戦闘で疲労していだが
ベラは氷の館を包む闇に怯えた。
「さあ、中に入るわよ!」
それを気にせずかいりは氷の館の大きな扉を開いた。
「鍵は掛かって無かったわね」
冒険物語では鍵が掛かっていたのを開けた後に思い出して言う。
「ちょっと、待ちなさい!」
どんどん先に進もうとするかいりを慌てベラが止める。
「中は氷の床になって滑るから気をつけて」
ベラの注意に。
「大丈夫!」
そう言うと氷の館に一歩踏み出すと。
「キャー!滑るーー!」
足を滑らせ館の奥まで行ってしまった。
「だから言ったのに!」
ベラもかいりを追って氷の館に入った。
「やっと2階に着いた…」
氷の床に足を捕られて2階に上がるのに手間取りかいりが疲労していた。
「あっ、あそこに…」
中央にベラより一回り小さな妖精の姿が見えたが。
「闇が凄いわね」
ここまで闇に覆われたモンスターを倒して来たが、これまで見たことのない
闇の濃さにかいりも驚いた。
「近づいて見ましょう」
「分かったわ」
ベラの言う通り進もうとした瞬間。
「わっ!ここも滑るんだった!」
また足を氷の床に捕られてしまった。