中央にたどり着くと全身が漆黒で黒いマスクをした妖精がいた。
「!?…姿まで変わるなんて…」
ベラはその姿に驚愕する。
「この子がベラが言った子なの?」
その村で見た妖精との違いにベラに確認した。
「そうだよ、あの子はぱにゃにゃん。恐らく闇の力で豹変してるんだと思う」
闇に包まれてるぱにゃにゃんは、虚を見てるのか目の前の2人に関心を
示さなかった。
「それで、どうするの?」
かいりに聞かれたベラは腰のポーチから横笛を出す。
「この春風のフルートで、この冬の様な闇を取り払うわ」
決意を表明すると笛を吹こうとする。
「それで大丈夫なの?」
「今はこれしか方法がないの!」
そう言うとベラは春風のフルートを吹くと、軽やかな旋律が氷の館の
ある洞窟に響き何処からか温かいそよ風が吹いた。
「うっ…」
闇に包またぱにゃにゃんに春のそよ風が当たると少しだけ反応した。
「利いてるみたい!?」
ぱにゃにゃんを見ていたかいりは反応したことをベラに言う。
それに応える様にベラは吹き続けるが。
『ヒャド』
ベラに向けて氷の矢が向かってきた。
「危ない!」
かいりは駆け出し間一髪、ベラを抱きかかえ氷の矢を回避した。
『ヒャド、ヒャド、ヒャド、ヒャド』
ぱにゃにゃんは2人にヒャドを連発する。
「そんな…あの子が攻撃するなんて…」
ヒャドを避けるために掛け続けるかいり、抱きかかえられたままのベラが
悲痛な声をあげた。
『この体はわたさぬ!復活の邪魔はさせぬ!』
ぱにゃにゃんから出たと思えない氷の様な冷たい感じの声が響いた。
「あの声、ぱにゃにゃんじゃない!」
「じゃあ、誰なの?」
「分からないわ…」
2人が走りながら話してると、ぱにゃにゃんは大きく息を吸うと。
『マヒャド!』
「ブレードガード!」
ブレードガードしたオートクレールと自分を盾にしてベラを庇う。
「ぐっは!」
マヒャドがかいりに直撃する。
「やっぱりマヒャドにブレードガードは意味ないわね」
頭を切ったのか額から血が流れる。
「ごめんなさい!私のために…」
謝りながらベラはホイミをかけてかいりの傷を治した。
「このぐらい平気よ!それより…」
闇に包まれ続けているぱにゃにゃんを見た。
「あの子どうするの?」
「春風のフルートで何とか出来そうだけど。また、攻撃してきそうだし…」
フルートの音が止まったせいか、攻撃がやんだが警戒しているのか2人を
ぱにゃにゃんは見続けていた。
「こうなったら手は1つね」
かいりはオートクレールを構える。
「どかーんと一発ぶつけて目を覚ませるのよ!」
ぱにゃにゃんに向かいだした。
「ちょっと、止めて!」
「少し大人しくさせれば邪魔出来なくなるじゃない」
「そうだけど…」
そんな言い合いの最中に眩しい光が突然空中に現れると。
『約束、果たしに来たよ!』
光から声が洞窟中に響いた。