『あの日、妖精の国にドラゴンの咆哮が響きました。それが何故、
ドラゴンの咆哮と分かったかは今思えば不思議な話ですが…』
気分が落ち着いと言うぱにゃにゃんにポワンは語りだした。
『咆哮がなったと思われる所に導かれる様に辿り着くと小さな貴方が居ました。何故、ドラゴンの咆哮共に妖精の国に貴方が来たのか私には分かりませんが』
ポワンは一息置いて。
『この国は様々な者が暮らす世界、この子も導かれたのだと思い育てる
事にしたのです。これが私が語れる全てです』
「だから!聞いてるの!?」
ベラがポワンの話を思い出していたぱにゃにゃんに詰め寄る。
「聞いてるわよ。アストルティアに行くことはポワン様に許しを貰ってるわ」
ベラに話ながらポワンの話をまた思い出した。
『今回の件は切掛だったのかも知れませんね。アストルティアなら貴方の事が分かるかも知れません…。行ってらしゃいぱにゃにゃん』
「あっ、ぱにゃにゃん見っけ!おーい!」
宿屋から目覚めたマユミは外に出て3人を見つけよってきた。
「もう起きて大丈夫」
かいりがマユミに声をかけた。
「ぐっすり寝たから大丈夫!」
小さな片腕を出ない力こぶを出すしぐさを見せた。
「所でぱにゃ達はどうしたの?」
ベラがぱにゃにゃんに何か言ってるのに気付くマユミに。
「あー、アストルティアに行くって事で揉めてるみたい」
かいりは2人をちらりと見て説明した。
「本当に行っちゃうの?」
ベラが悲しい顔でぱにゃにゃんをみた。
「アストルティアなら自分の事が何か分かるかもしれないしそれに…」
「それに?」
「3人で冒険してたら楽しい事がありそうと思ってね」
満面の笑みで答えたぱにゃにゃんを見たベラが観念した。
「そこまで言うなら仕方無いかー……寂しくなるね…」
「何言ってるのよ。さっき言ってたじゃない妖精の国の勇者として
駆けつけるって、そこに私が居ないと思ってるの?」
悪戯っ子な笑みを浮かべた。
「そうか…そうだよね!」
ベラもぱにゃにゃんと同じ笑顔で応えた。
「話もついたみたいだし、このままアストルティアに戻りましょうか」
2人のやり取りを見守っていたかいりが思い付きで言う。
「行こう行こう!」
マユミがノリノリで賛同して。
「まあ、唐突だけど悪くないわね」
ぱにゃにゃんも賛成した。
「えっ!?もう行くの?」
ベラは戸惑うが。
「それで何処に行くのよ」
「とりあえず家にいったん帰って…」
ベラの戸惑いを余所に2人がこれからを話していると。
「あっ!クマヤンに何も言わずに来たままだった…」
家と聞いてマユミが慌てて飛び出してきた事を思い出した。
「あーマユミをアストルティアに召喚したオーガね」
ぱにゃにゃんが前に話た事を思い出した。
「それじゃクマヤンに会いに行くのを最初の冒険にしようか!」
「わーい!」
「そんなの冒険になるの?」
3人がわいわいがやがやと話す後ろ姿を少し寂しそうに。
「バイバイ、また来てね」
と小さく呟いた。