エルジュと子狼を連れた。少年をクマヤンは屋敷の中へ案内した。
「屋敷は魔物が入れない様にしてあるから安心して良い」
残党軍の襲撃から屋敷の防御を強化していた。
応接室に案内され、全員がソファに腰を下ろすと、屋敷の主であるクマヤンが
口を開いた。
「まずは自己紹介から始めよう。俺はこの武器と防具の店の主のクマヤンだ」
「私はマユミ!よろしくね」
クマヤンの横に飛んでマユミも自己紹介する。
「僕は破邪船師のエルジュだ」
「破邪船師…レイダメテス崩壊の立役者か」
エルジュと言う少年が、破邪船で強い冒険者をレイダメテスに送ったと言う
話は耳にしていた。
「僕はレオナルド、ルシナ村の狩人だ。こいつの親を探し旅をしている」
そう言うと足元の子狼を見た。
「ルシナ村…ああ、戦士団達が興したあそこか」
以前、商団に加わり訪れた事を思い出した。
「知っているんですか?」
「一度だけ寄った事があってな。その鉢金で合点がいった」
戦士団の証だった鉢金を村人が皆していた。それを旅の少年がしていて奇妙に
思っていた。
「ええ!小さな村だから外の人が来たら顔を合わせると思うけどな…」
「少し立ち寄った程度だからすれ違いになったのかもな」
「そうか…僕が村を出た後とかかな」
レオナルドが考え始めたので、クマヤンはエルジュに話を振った。
「エルジュさんは、何故、魔物に襲われてたのですか?」
「エルジュでいい。魔物の話の前にこれを読んで欲しい。うちの師匠からだ」
エルジュは胸から手紙を取り出し、装備袋から全体を布に巻かれた
片手剣らしきものをテーブルに置いた。
「これは!!」
武器が出てきて武器マニアとして興奮して手に取ろうとした。
「まって!師匠からの手紙が先だ」
エルジュに制止され手紙を押し付けられる。
「ああ、分かった…」
剣を名残惜しそうに見ながら、手紙の封を開けて手紙に目を向けた。
「………ほー」
「なになに」
マユミがクマヤンの頭越しに手紙を見る。
「なるほど………」
一通り読み終えると、手紙を締まった。
「あっ!途中なのに!」
抗議するマユミに、そのまま手紙を渡した。
「あっ!もう!」
マユミを気にせずエルジュに話を聞く。
「剣を見ていいな」
「ああ」
エルジュに確認をとると、剣を取り布をとり剣を出した。
「これは!木剣!?」
中から出てきたのは、剣先から柄まで一本の木で加工された様な両刃の
片手剣だった。
「木剣だと!」
エルジュが目を丸くして驚いた。
「中は見なかったのか」
「話は聞いてるが木剣だとは聞いて無かった…」
手にした木剣からは、生命力みたいな力強いエネルギーを感じた。
「これがマナの剣」
手紙に書かれた木剣の名前を思わずクマヤンは口に出した。