「突入部隊は解散したんだ。もう君の指令では無いよ。」
ロスウィードは軽く笑いながら訂正した。
「えーそうなんだ」
「名前で良いですよ。あの激戦を戦い抜いた仲じゃないですか」
アスカも明るくマユミに言った。
「それもそうかー」
アスカの言葉にすんなりと、受け入れたマユミにアスカが聞いた。
「それで、ここには何の御用で来たんですか?」
「今日はクマヤンの頼みで来たんだ」
マユミは後ろで、熱心腐乱に本に集中しているクマヤンを指した。
マユミがこれまでの経緯を2人に話すと。
「消えて行った伝説かー」
そんな事があるのかとロスウィードが言うと。
「そう言えば、ヴェリナード城7不思議ってありますよね」
「なに、なにそれ!」
マユミが面白そうと食い付いた。
「建設されてから、長いせいかそんな話が出てくるんだよ」
ロスウィードが説明する。
「その中に知識の間の話がありまして、本棚の裏に隠し本棚があり幻の本が
収まってるらしいと、新人の頃に先輩に聞かされました」
「へえー!」
アスカの話にマユミの目が輝いた。
「アスカはそう聞いているのか」
「違うのですか?」
「こう言う話は、尾ひれが付くものだから間違いではないが」
ロスウィードは一息入れて話を続ける。
「私が新人の頃、先輩が話したのはその隠し本棚は、あくまの書の様な本に
擬態したモンスターを封印するための本棚で、もし本棚を見つけて不用意に
本を手に取ったら…」
ロスウィードの話を、アスカとマユミは固唾を飲んで聞き入った。
「ガブッ!とやられるそうだ」
ロスウィードは最後を強調して言った。
「いやー!」
「もう、そういう冗談はやめてくださいよ!」
マユミは驚いてアスカの後ろに隠れ、アスカはロスウィードに抗議した。
「いや…冗談じゃなくてそう聞かされたんだよ」
先輩が新人を脅かすために、付け足しかも知れないがと小さく付け加えた。
「その話は私も聞いたことあります」
3人の話にしらたまも加わった。
「この城に勤めているなら1度は聞くだろうな」
ロスウィードが同意した。
「はい、知識の間に配属されると、幻の本棚探しを始めるんですが
見つかった事は無いんですよ」
しらたまの話を聞いてロスウィードは。
「この城が出来て600年経って居るんだ。根も葉もない話が膨らんで行っ
たんだろう」
ロスウィードがそう言い終わると同時に。
「終わったー!」
クマヤンが伸びをしながら声をあげた。
「終わったの?」
マユミがクマヤンに飛んで近づいて聞いた。
「ああ、面白かった」