「その姿は…何故!?朽ち果ているはず!?」
その姿を見て大魔女が取り乱した。
『寸前であったぞ。だが、全ては私に向いているようだな』
もう一人の大魔女が答えた。
「なに?なに?どうなってるの?」
マユミが困惑して飛び回る。
「声は違うがこの感じは…」
2人の大魔女から、目を離せずにいながらクマヤンは嫌な予感を感じてた。
「私の体を使わせません!ダークリッチ!」
『今のお前にできるかな』
怒りと憎悪を、ダークリッチに大魔女は向けるが、大魔女の体を手に入れた
ダークリッチは笑った。
ダークリッチは、こちらの世界に戻ってすぐ大魔女に不覚を取られていた。
「あの魔女め…まだ…この地にしがみついていたか…」
ダークリッチは忌々しく呟いた。破邪船ごと自分の世界に、戻ってすぐ
エルジュに取り憑くつもりだったが。こちらの世界に入った途端、大魔女が
聖なる閃光が放たれ、破邪船から引き剥がされた。聖なる力は、地を這う
ドス黒い物体にまでに、ダークリッチを弱めさせた。
「だが、威力は弱まってる…やはり、肉体は失ってるな」
以前の大戦いでそこまで追い詰めた自信はあり、恐らくマナの力を借りて、
辛うじてこの地に留まってるとダークリッチは考えた。
「それより、何かに取り憑かないと…魔物でも獣でも良い」
ダークリッチは必死に這いずりまわり続けてると。
「あれは…」
目の前にほぼ骸骨化していた遺体に遭遇した。
「これでは……だが…やるしかない!」
死体では、取りつけたとしても、人として戻せるか分からない。しかし、
ダークリッチを引き付ける何かがあり、考える間もなく取り憑いた。
「何だ!この魔力は!?そうか!あの魔女の体か!これは…力が絡みあって
行く!」
ダークリッチが取り憑いた瞬間、肉体がもとに戻り、取り憑いた体が大魔女の
ものとダークリッチは気づいた。
『素晴らしい!力が湧き出る!』
今まで感じことのない、力の湧きに肉体の再生の事など、考える事も無かった。
『待っていろ魔女』
そう言うと一瞬で大魔女の隣に瞬間移動した。
大魔女は、ダークリッチの挑発に乗るように、聖なる閃光を放つ。
『光属性のお前の体に効かない事も分からなくなったか』
ダークリッチは大魔女を嘲笑う。
「くっ…」
「僕たちも!」
大魔女の分が悪い事で、呆然と見続けていたエルジュ達は、加勢しようとし
始めたが。
『させぬわ!』
ダークリッチは、エルジュたちの事も忘れずに爆裂魔法を、エルジュたちの
中心に放った。
「「うわー!」」
エルジュ達は強烈な爆発に吹き飛ばされた。
『お前たちを倒しマナを私のものにし、この世界を支配する!』
(世界の全てを燃やせ…)
『この力ならアストルティアも他の異世界も私のものだ!』
(この世界の全てを灰燼に帰せ…)
『うるさい!誰だ!』
ダークリッチは頭に響く謎の声に怒りの声をあげた。
((世界の全てを燃やせ…全てを灰燼に帰せ…))
『やめろ!』
(((世界の全てを燃やせ…全てを灰燼に帰せ…)))
『い、意識が飲まれて…行く…』
ダークリッチは、自分が乗り移った時に行なっていた、事と同じだと
気づきながらダークリッチの意識は無くなった。