ダークリッチの意識が無くなると、ダークリッチに奪われた大魔女の体は光り、まともに見ることが、できないほどに輝やいた。
「なんて光だ!」
突然の輝きに、エルジュ達は目を防いだ。その間も、輝く体は大きくなり、
形も変わって行き、その姿は巨大な翼竜に見えた。
「竜か?」
サングラスをしている、クマヤンはダークリッチの変化を見続けていた。
ダークリッチだったものは、形が定まると体の輝きも収まり、姿を現した。
「その姿は神獣!」
竜の様に見えるが、体はウロコでは無く、白く長い毛に覆われ、頭部に
角はなく赤紫の頭髪を生やしていた。
「神獣!?」
驚き声を挙げた大魔女にクマヤンは聞いた。
「神獣とは、マナの力が世界から失われる時に、世界の全てを無にし、
世界を再生させると私達、守護者達に伝わる獣!」
「つまり、リセット装置か」
大魔女の説明に、クマヤンは苦い顔で言った。大魔女の説明をしている間に、
神獣は聖域の上空に上がり、聖域に向かい極大の炎を螺旋状に吐いた。
「いけない!」
大魔女はそう叫ぶと、結界を聖域全体に張り神獣の炎を防いだ。
「くっ…」
神獣は炎を途絶えず、炎を吐き続け大魔女の結界は、少しづつ押されて行った。
「ダークリッチは神獣だったのか?」
エルジュはその光景を見ながら疑問がわいた。
「それより炎に押されてるよ!」
それにマユミが突っ込んだ。
「ダークリッチの正体は後にしよう、このままでは不味い…」
悪い状況にクマヤンは、神獣は気になりながら言った。
「助けられないの?」
レオナルドが大魔女を見て言うと。
「私は大丈夫です!それよりマナの剣で、マナの木を甦らせてください!
マナの木が甦れば、神獣も破壊行為をやめるはずです!」
「なるほど、失い掛けているいる。マナの力を戻して神獣を停止させるのか」
大魔女の考えにクマヤンは納得した。
「じゃあ、早くやろうよ!このままじゃ私達も燃やされちゃう」
「そうだな…急ごう!」
エルジュは布に巻かれたマナの剣を少しの間、見つめ意を決しマナの木の
切り株に向かって走った。
エルジュたちは、巨大な切り株に乗り中央に進んだ。
「ここに刺すのか?」
エルジュは切り株の中心に、マナの剣を刺すのに宛てがわれてる、
様に出来ている切込みを見つけて呟いた。
「そうだと思う」
「やってみるしかないな」
レオナルドとクマヤンが同意した。
「分かった」
エルジュは、マナの剣を巻いていた布とり、剣を両手で逆手に持ち、
切り込みに向かって勢い良く刺した。
「マナの剣が…」
マナの剣は切り株に刺さると、みるみるうちに剣から木の枝に、姿を変え
エルジュぐらいの木になった。
「これでマナの木は甦ったのか?」
エルジュの疑いに答える様に、マナの木から暖かい優しい光が溢れ出した。
「この光は?」
レオナルドが、自分の体を包みこんでくる光について呟く。
「暖かい…」
エルジュは光の感想を思わず呟く。
「体が軽い…これがマナの力か」
「マナの木が甦った!」
クマヤンの言葉にマユミが高らかに宣言した。
「これで神獣は止まる…キャ!」
その光景を見て大魔女は安堵した途端、結界に大きな衝撃が走った。