「神獣をやっつけた!」
神獣が消え、マユミが宣言すると、全員がへなへなと地に腰をおろした。
「本当に終わったんだね」
「ワウ…」
レオナルドが沁み言うと、子狼が小さく同意する様に吠えた。
「大変だったー!」
正反対にエルジュが、今まで溜まっていたものを吐き出す様に叫んだ。
「ほんとに大変な旅になったな…」
エルジュの叫びにクマヤンが、これまでの事を思い出して力なく言った。
『まさか、神獣が倒されるとはな』
その時、今まで聞いたことの無いおぞましい声が空から響いた。
「何だ!?」
『神獣を使い創生のチカラを手に入れるハズが…あの魔女め!』
「誰が言ってるんだろう?」
レオナルドが響く声に唖然としながら疑問を口にした。
『だが、マナの樹の結界は無くなった!直接のりこみ創生のチカラを
奪うだけだ!』
そう言うと空の1部がぱっかりと、開かれた部分に暗く星が見える所が出来た。
「あそこだけ夜みたいだ」
「あの話し振りからすると、あそこから何かしてくるみたいだな」
エルジュが例え、クマヤンは現状から考察した。
「何をしてくるんだろ?」
「分からないが良くない事だろうな」
マユミが聞いてきた事に、神獣に何かしら関わってる事から推測して答えた。
「何とかしないと!」
それを聞いてエルジュが声を上げた。
「何とかしたいが…」
大魔女が与えて貰った力の反動か、戦うだけの力が残ってない状態で何が
出来るか思いつかなかった。
「私がやってみる!」
クマヤン達が、困り果ててるとマユミが力強く言った。
「やってみるって?」
「大魔女から貰った力を使えば、結界を張れると思う」
マユミは大魔女が引き出した、潜在能力をまだ使っていなかった。
「ただ、結界を張った後にアストルティアに帰るために、次元斬で斬ったら上手く繋がらないかも知れない」
今の状況でどうなるかはマユミも想像出来なかった。
「なるほど。結界を張る前に次元斬でアストルティアと繋げて戻れと
言うことだな」
クマヤンはマユミの話しを聞いて言った。
「流石、クマヤン理解が早い」
クマヤンに親指をあげてグッ!と手を向けた。
「だが…それだと、マユミはどうするんだ?」
そんなマユミにクマヤンは疑問を投げかけた。
「だ、大丈夫!結界張ったらパッーと飛んで入るよ!」
クマヤンの疑問に不意をつかれて慌てて答えた。
「光が近づいて来てるよ!」
切り裂かれた、暗い空間に見えた星の様な無数の光が、強くなり
近づいてる様をレオナルドが警告した。
「考える暇もないのか!」
クマヤンは声を上げ憤った。
「私は、大魔女が自分を犠牲にした事を無駄にしたくないよ!」
マユミが真剣な眼差しでクマヤンに言った。
「……分かった。必ず戻って来いよ!」
「勿論!それじゃ行ってくる!」
クマヤンの許しを得て、上空に飛び立つとマユミは眩しいほどの光を一瞬
放つと着ていた物が変わった。
サークレットから神々しい冠と、神々しい美しいローブを纏っていた。
「この世界は私が守る!」