アストルティアと別次元にある魔界。アストルティアを狙う、大魔王や魔族が
棲んでいた世界。だが、新たな大魔王の活躍により進行は無くなり、魔界にも
平穏が訪れ1部の冒険者が入るようになっていた。それでも、10人以上の
冒険者の集団が魔界に居るのは珍しい事だった。
「ここがお前たちが要望した場所じゃ」
謎の貴公子として、突入部隊に参加したが。実は魔族の貴族だったソーリスが
言った。
「この魔痺の濃度、要望通りね!ありがとう」
モノクルを付けたプクリポ、おきょう博士がソーリスに礼を言う。
「本当に凄い魔痺だな…」
「ここも危ないんじゃない?」
濃霧の様な先の見えない濃い魔痺にクマヤンは息を呑み。
隣に居たぱにゃにゃんは怯えた。
「ここは…えーと何とか男爵の旧領だ」
「ボォドイースです。若」
ソーリスが場所の説明に、従者であるみみみっくが付け加えた。
「その名前をここで聴くとは…」
魔界だから名前が出るのは可笑しくは無いが、完全に忘れていたので
クマヤンは驚いた。
「知ってるのか?」
「まあ、うちの一族と薄からぬ因縁があったのさ」
それはチョッピ荒野で、決着が着いていたがまだ奇妙な縁があるのかと思った。
「それじゃ早速、実験を始めましょう」
そんなやり取りをしている中、おきょう博士が言い出すと、後方に控えていた
巨大な影が前に出てきた。緊急駆動ドルセリオンと、ドルブレイブの5人だ。
「おおおお!」
「キター!」
ドルセリオンの登場にかいりとマユミが興奮する。
「魔痺浄化システム起動!」
おきょう博士が叫ぶと、ドルセリオンに巨大なロケットマシン型ドルボードの
様な、バックパックが装着されている。そのバックパックからホースが
伸びていて、ドルセリオンは手にそのホース持ち、ホースの先のノズル部分を
魔痺に突っ込む。
「うおおおお!」
魔痺がノズルに吸い込まれて、行く様子にかいりが叫んだ。
「魔痺吸引は問題無いわね。後は浄化だけど…」
おきょう博士が呟くと。
「排気からの魔痺濃度はゼロです。博士」
ドルセリオンのバックパックの、排気口の間近で魔装展開しているアオックが
報告した。今回のためにドルブレイブの5人のスーツに魔痺濃度計が
入れられていた。
「高濃度の魔痺浄化実験成功よ!」
「「おー!」」
周りから感嘆の声が上がった。
「次は耐久テストよ。このままドルセリオンを進ませるわ」
おきょう博士は直ぐ様に次のテストを始めだし、ドルセリオンと共に魔痺を
浄化しながら進みだした。
「おいおい!案内役の余を置いていくな!」
ソーリスが慌て後を追う、それにみみみっくが続きドルブレイブの5人も
続いた。
「とりあえず第一段階は成功か」
クマヤン達が魔界に居るのは、おきょう博士の魔痺浄化
装置製作の材料を提供し、魔痺浄化実験の立ち会いに誘われたからだった。
「置いてかれるよー!」
マユミがクマヤンに声をかけた。既にかいり達も後を追っていた。
「ああ、今行く!」
クマヤンは、ドルセリオンになりたいと言うまでに気に入っているかいり達も
誘い来たが。
「ボォドイースの旧領か…」
初代クマヤンが残した言葉に、自分を高めるために魔界に
来たがここで何か起きる予感がした。