魔女特有のトンガリ帽子を、少しあげて彼女は石畳の床をじっと見た。
「時間をかけなければ、詳しくは分からいほど微量だが、何かの魔法が
施されていた痕跡があるな」
それを聞いて手に顎を乗せながら。
「やはりな…それだけ分かれば十分だ有難う」
旧ボォドイース男爵領での、デモンズゴーレムとの戦闘から数日が経ち
ボォドイースの旧城にクマヤンは居た。
「いいのかい?」
そうクマヤンに聞いたのは、ディオーレ女王の顧問魔法使いリンドウだった。
「ああ、頼みたいのはあちらだからな」
クマヤンが向けた視線の先にはかいり、マユミ、ぱにゃにゃんの3人と、
リンドウの弟子ウサみんとねるの2人が奥に向かっていた。
「そうだったな」
リンドウに見てもらったのは、デモンズゴーレムが居た部屋の入口だった
所だ。デモンズゴーレムがかいりたちを追いかけた時に破壊され、入口は
無かったが床に魔法の痕跡が、あったなら入れなくしていた事は、考えてた
通りだったのでそれだけで十分だった。
(男爵かは分からないが、デモンズゴーレムが扱えずに封印してたんだろう)
そうクマヤンは結論づけた。
「ここだよ!」
マユミが指差すさきには、動かなくなった旅の扉があった。デモンズゴーレム
を倒した後、クマヤンたちは城を再度捜索した時に、デモンズゴーレムが
居た所で見つけたものだった。
「確かに旅の扉だね」
「光ってないね」
リンドウに続けて、ウサみんが形は旅の扉だが動いてない事を確認した。
「あのゴーレムはこれを守ってたといってたよね」
ぱにゃにゃんがクマヤンに促す。
「ああ、ソーリスが雷帝時代の出城なら繋がってるのは…」
「雷帝の居城か」
リンドウが言葉を続けた。
「そのゴーレムは門番だったと言う事でしょうか?」
ねるが師に聞いた。
「そんな所かな」
リンドウは返事しながら、動かない旅の扉の前に進み手をかざした。
「………なるほどね」
「もう、分かったのか?」
クマヤンはリンドウの言葉に驚いた。旅の扉の起動は知ってる限りの事を、
試したが反応しなかったからだ。
「ああ、これは子機みたいな物で、親機なる旅の扉を起動させないと
動いてない仕組みさ」
「そうか…忘れてたな…」
リンドウの説明でメインを起動させないと、動かない装置がある事を
クマヤンは思い出した。
「じゃあそれを見つけて、動かさないと駄目って事かな?」
マユミの呟くと。
「メインとなる旅の扉は…繋がっていると思う雷帝の居城」
クマヤンが推測する。
「雷帝の居城に行けるかもと、思って旅の扉を動かそうとしているのに
それじゃ駄目じゃない」
ぱにゃにゃんが終わった感じで言った。
「ええっー!雷帝の居城なんて何かありそうと思ってたのに!」
かいりは声をあげて文句を言った。雷帝の居城は旧ボォドイース男爵領の
先に、ある濃度の高い魔痺の中にあると言われ探すのは困難だった。
「オーレリイ!」
そう言うと水晶の様な物が、リンドウ手の上から浮遊して現れた。
「どうするの?」
マユミが興味津々で見つめた。
「止まってはいるが、繋がっているのは変わりないなら書き換えと…」
リンドウは旅の扉に触れて、数分後旅の扉に光が灯り動き出した。
「こんなものかな」
そう言うリンドウは少し誇らしげな顔だった。