雷帝は大きく息を吸い吐くと、黒い雪混じりの凍えそうな冷たい風が
クマヤンたちを襲った。
「この黒い雪は魔瘴か?」
口と鼻を腕で防ぎながら。
「さしずめ、魔瘴の吹雪ってとこかね」
リンドウもクマヤンと同じく、顔を防ぎながら言ったがオーレリイを出して、
準備をしていたが雷帝のその姿に動揺して、魔瘴の吹雪の対応に遅れて
しまった。
「こっちの番ね!」
魔瘴の吹雪を吐き終わった所で、かいりは雷帝に突撃を始めた。
「ま……って…シ……シビレた…」
魔瘴の吹雪でマユミは、毒は防げたが麻痺してしまいぱにゃにゃんに支えて
貰い落ちずにすんでいた。
「マユミは俺が引き受けた。かいりのとこに行ってくれ」
クマヤンはマユミを引き取り、ぱにゃにゃんをうながした。
「雷帝の正体が地獄の帝王だったの!?」
「落陽の草原に現れたのと同じでは無いだろうけどね」
クマヤンがマユミにまんげつそうで回復させている中、ウサみんとリンドウが
話をしている。側では、ねるが神速シャンションを歌うと2人は魔法で雷帝に
攻撃した。
「よし、俺も…」
「うわっ!」
クマヤンが攻撃に加わろうとした時に、かいりの悲鳴が聞こえた。
かいりたちの攻撃に、雷帝はいきり立ち自分の体が傷付くことも構わず、
両手に持つ剣を無茶苦茶に振り回した。
「かいり!ぱにゃ!」
麻痺から回復した、マユミが雷帝が剣を振るうたびに起きる、黒い霧をみて
思わず叫んだ。
「剣にも魔瘴が纏わりついてるのか」
雷帝の持つ剣をよく見ると、黒い靄が刀身を覆っているのが分かった。
「俺が雷帝の気を引く!2人を頼んだ!」
クマヤンは叫びながら、雷帝が目を引く様に動いた。
雷帝は変わらず滅茶苦茶に、2本の剣を振り回しながらクマヤンに向ってきた。
「よし、このまま!」
クマヤンは次元斬を発動する構えに入る。
(やはり雷帝はあの攻撃はしないようだ。)
地獄の帝王の様な姿のせいか、話に聞く自らを雷にし相手を貫く技をここまで
使わなかった。
「はっ……」
クマヤンが居合と共に、斬無刀を抜こうとした瞬間に目の前が真っ白になり
意識を失った。
「キャー!」
雷帝が一瞬、光になったと思った瞬間にクマヤンは倒れいつの間にか、
クマヤンの後ろに現れた雷帝の光景にマユミは悲鳴を上げた。
「今のって…」
「見たことある!」
リンドウたちと合流した。ぱにゃにゃんが言葉を詰まると、代わるように
かいりが言った。
「海底離宮ですね…」
「なんで……?」
ねるが答え、ウサみんは信じられない光景を見て動揺する。
「ああ、あれはドラゴンブリンクだ」
リンドウが海底離宮で、ソウラが終盤で使った技はここに居る全員が
知っていた。
『グゴゴゴゴ……。』
クマヤンを倒した雷帝は、かいりたちに方向を向けると姿が消えた。