ケイの冒険日誌

ヤス　　　大将、お久しぶりです
大将　　　おう、どうした？
　　　　　暗い顔に見えるが・・・
　　　　　何かあったか？
ヤス　　　その・・・・
　　　　　うっ・・・・
大将　　　おい、泣くな兄ちゃん
　　　　　・・・え、待て
　　　　　嘘だろ
　　　　　まさか
ヤス　　　はい・・・まさか・・・
　　　　　です
　　　　　手術・・・失敗・・・
　　　　　しました
大将　　　なんてこった
　　　　　とにかくそこ座んな
　　　　　落ち着け、お茶
　　　　　出してやるから・・・
ナレ　　　俺は大将からお茶をもらい、
　　　　　ひとしきり泣いた後、
　　　　　やっと話し出した。
ヤス　　　お医者さんは、
　　　　　頑張ってくれたんですけど・・・
　　　　　治療・・・
　　　　　うまくいかなくて・・・
　　　　　手術の後・・・
　　　　　割とすぐ亡くなって・・・
大将　　　そうか、そうか・・・
ヤス　　　で、早くお伝えしなきゃ
　　　　　って思ったんです
　　　　　でも・・・
　　　　　気持ちの整理に
　　　　　時間が・・・
大将　　　そうだろう・・・
　　　　　しかしあの子が・・・
ヤス　　　フウカは、手術の直前まで
　　　　　今回の寿司のことを
　　　　　嬉しそうに話していました
　　　　　本当にうれしくて、
　　　　　幸せだったみたいで・・・
大将　　　そうだったのか・・・
　　　　　そうだったのか・・・
ナレ　　　すると、大将は肩を震わせ、
　　　　　目から大粒の涙をこぼしたのだ。
大将　　　くそう！！！
　　　　　神様も仏さまもあった
　　　　　もんじゃねえ！
　　　　　俺みたいなおっさんが
　　　　　こうやって元気に
　　　　　過ごしていて
　　　　　どうしてあんな若い
　　　　　何の罪もない子が・・・
ナレ　　　俺もそれを聞いて
　　　　　一緒にしばらくまた泣いた。
　　　　　すると、しばらくして
　　　　　大将は、手入れをしていた
　　　　　包丁をしまい始めた。