ケイの冒険日誌

ナレ　　　この話を俺はネット上で
　　　　　記事にまとめてアップした。
　　　　　フウカがどれだけ
　　　　　この店を愛してきたのか。
　　　　　大将がどれだけ
　　　　　素晴らしい人
　　　　　だったのか。
　　　　　そして、この店の寿司が
　　　　　どれほどおいしかったのか。
　　　　　俺はフウカの代わりに
　　　　　みんなに伝えたくて、
　　　　　一生懸命この心の
　　　　　交流をまとめたのだ。
　　　　　すると、ネット上で
　　　　　かなりの反響が。
　　　　　フウカの追悼の言葉と、
　　　　　大将への称賛の嵐。
　　　　　そして「みその寿司」の
　　　　　存続希望の声が
　　　　　多数寄せられたのだ。
　　　　　その話題が広まって、
　　　　　あれだけさびれていた
　　　　　お店は、
　　　　　行列のできる人気店になり、
　　　　　大将は店をたたむどころ
　　　　　じゃなくなった。
　　　　　それから数年しても、
　　　　　不動の人気店には
　　　　　変わりはなく、
　　　　　ブームは去ったものの、
　　　　　予約が取りづらい
　　　　　名店になっていた。
　　　　　芸能人もお忍びで
　　　　　来るほどらしい。
　　　　　社会人になった俺が
　　　　　久々に足を運んだ時、
　　　　　大将は最初のころの
　　　　　顔とは打って変わって、
　　　　　満面の笑みで俺を
　　　　　迎え入れてくれた。