そうすると友達が、「おい!クマのクーさん大丈夫か?」と声をかけてきたので
その男性は泳ぎながら「大丈夫!大丈夫!」と答え、「ゆっくり泳いでおいで」
と声を友達がかけました。
そして人工の島についたら友達に腕を引っ張って上げてもらい。そこで腰を
降ろして休んでいたそうです。
他の友達は十分休んだので、「お前はクマのクーさんとゆっくり休んでから
ゆっくり来たらいいからね」と言われて友達はまた陸に向かって泳ぎ始めまし
た。
その男性はクマのクーさんを抱っこしたままその人工の島で波に揺られながら
しばらく休んでいました。波に揺られながらその男性はふと、こんなことを
思ったそうです。
「いつまでも一緒にいるわけにはいかないだろうな。大人になるまでにはこの
クマのクーさんとは別れなくてはいけないだろうな・・クマのクーさんとの
別れってどんなのかな?」といろんな事を思ったそうです。
「でも今そんなことを考えても仕方ない」と思い、クマのクーさんを抱っこ
したまま、人工の島から降り、海に入りました。
そして片手に抱っこし、もう片手で泳ぎ始めました。
ず~と泳いでいくと、その男性の右足首に、ペタン、ペタンと何かが当たる
ようになりました。海のそばで育った人間には教えられることに、「だいたい
足に何かが当たるということは海藻が多い。海藻が足に当たるようになれば
その場で立ち泳ぎしなさい。下手に動くと海藻が足に絡まって水難事故が
起きてしまう」ということを思い出し、その男性はそこで立ち泳ぎを
始めました。
すると陸にいる友達が「おい!大丈夫か?」と声をかけてくれました。
「大丈夫!大丈夫!今足に、海藻が当たってるから!」と答えた男性。
するとペタン、ペタンと当たっていたのが激しくなってきました。
「おかしいな・・いつもならそろそろ流れてもおかしくないのにな」
と思い、ぱっと下を見ると見知らぬ、真っ青な人間の形をした誰かが、
右足をペタン、ペタンと叩いているのがわかりました。
「え?この人だれ?」
と思った瞬間、ペタン、ペタンと叩いていた手が、ぎゅっとその男性の右足を
持って海の中に引きずりこんでしまいました。