ここはアースティアラという星
地球とよく似てるけど、異なる宇宙の異なる星。
地球人とそっくりの人間たちが住んでいるちがう歴史を持つどこかの宇宙の物語。
一人の若い男がふらふらと歩いていた。
一ノ瀬緑は、足元がふらついていた。着てる服もボロボロだった。
世界警察機構の国際捜査官である彼は、いまリケトニア公国の首都、エメラルド・シティーにいた。
目の前には世界財閥アレクサンドロス・コンツェルンの巨大な本社ビルの摩天楼が対流圏いっぱいそびえてる。
9年前に創設者の孫である18歳の若き新会長になってからエウロパ連邦の1財閥にしかすぎなかったこの大企業体は新会長のもとに10倍の発展をしていた。
いまは 社員三千万人以上350以上の大企業を擁する世界の超巨大企業である。
後ろから声がした。振り返ると、リケトニア公国の警官だった。
「きみ、不審者だね。ちょっと身体検査させてもらえるかな。」
警官は一ノ瀬緑をジロジロみた。一ノ瀬緑の格好は
身長176センチ、中柄な若い男。東洋系のイケメンで日に焼けた精悍な顔立ち、鋭い目つき。細マッチョ。ほとんど体脂肪0の均整の取れた男性的な筋肉。ただし着ている服はひどくボロボロでまるで大勢の人間と大乱闘した後みたいだった。ボロっとなった薄汚れたジャケットにジーパン、元の色がわからないほど汚れたTシャツ、あと何日シャワー浴びてないのか、ひどい体臭。浮浪者のような靴。どうみても不審者だ。
彼は世界警察機構の特捜官証をチラと見せた。
彼は、ビルの中に入った。
外から見えるより中は数倍の広さがあった。
またエレオノーラの未公開技術によるものだと思う。
そこはリケトニアの最大の駅のホームターミナルだった。
リニアモーターカのターミナルだった。
とても広い構内に、果てしなく高い天井。
豪華なつくりである。
その空間を何万人もの人々がそれぞれの目的で移動していた。
ある人々は観光客か、のんびりと歩いている。
ある人々はアレクサンドロス・コンツェルンの社員たちだろうか?
スマートなスーツを着込んだ人々が足早に歩いていく。
アレクサンドロス本社もはいっているがこのビルは巨大な都市でもある。
サッカー場にも野球場にもなるスタジアム、遊園地、巨大なショツピングセンター
リケトニアの巨大な地下街への入り口でもあり、間をぬって走るハイウェイと超高層ビル群の間を埋める途方もなく広いあそび地は美しい公園になっている。
緑はターミナルの隅にあるインフォメーションセンターに入った。
そこには30代から40代くらいの美魔女っぽい女性が10人くらい立っていた。
どの人も大勢の人に囲まれて忙しそうだった。
緑は疲れて足元がふらついていた。
ボロボロの彼がしばらく呆然としていると、一人の40代くらいの美魔女がちかづいてきて「失礼します、何か御用はおありでしょうか?」と聞いた。
緑は答えた。「エレオノーラ・アレクサンドロスに会いたいんだ。」
女性「会長にアポはおありですか?」
緑「いやないよ。」
女性「それではお会いになるのはむずかしいかと・・・」
緑「エレオノーラに一ノ瀬緑が会いに来たと伝えてくれ」
女性「わかりました。会長にお伝えしますので少しお待ちください」
数分後、美魔女の案内女性が緑を呼んだ。
「会長がお会いになるそうです。このイヤホンをお取りください。」目の前に出された小さなアクセサリー入れのような箱に半透明のイヤホンが入っていた。
緑がそれをとって耳にいれると
女性は「まっすぐ進んでつきあたりのターミナルエレベータにおはいりください。中に入られて左手にある操作盤にふれられれば、すぐに会長室にお行きになれます。」
「ありがとう」
緑はふらつきながらも、とっととまっすぐ歩き、つきあたりのエレベータに入った。
すると、体が光に包まれて、目の前にいる何万人もの人の雑踏がみえなくなっていった。
緑は左手にある操作盤にふれた。
すぐに、上から光が差し、あっというまに目の前の風景が、変わった。
広いロービで天井はすごく高く、ロビーの真ん中には巨大な枯山水の生け花が飾られていた。
ものすごく豪華なロビーだった。
イヤホンから声がした。
「突き当りのドアが会長室でございます。」
彼が歩き出すと、前からだれか人が歩いてきた。
それはエレオノーラではなかった。
中年の女性だった。
スリムな体に目鼻だちのととのった少し化粧のきつい中年女性だった。
おもわず、彼は中央の巨大な生け花の陰に隠れた。