その女はぶつぶつ言っていた。
「ふん、あれだけ言ってたった100億円かい。これじゃカルト教の教祖様に寄付するのがやっとだな。だれが産んでやったと思ってるんだ・・・」
その中年女はそういうと、ターミナルエレベータに乗りかけた。
緑はその女性を・・・・どこかでみたことあるな・・・・と思い、ポケットの携帯電話のスイッチをおして写真を隠し撮りした。
女がエレベータで去った後、緑はツールをダウンロードし世界警察の特捜官用の自分のコードナンバーを入れた。
そして人物紹介の照合をすると、その女性のデーターが出た。
彼女の名前は武烈宮霞子だった。ウィキを見ると
『武烈宮霞子48歳
東ひのもと国の王族である武烈宮武烈の8女。
東ひのもと国は女系の直系王族しか王位継承権を認められないため、武烈宮家は武烈宮武烈が一人産まれ男子であったため、彼の代で王族ではなくなった。
王立学問院で傷害事件を起こし高等部を退学処分になる。実家と決別し、芸能界デビューし女優となる、映画は2作出演。自称「不良のレズビアン」
世界財閥アレクサンドロス・コンツェルン会長エレオノーラ・アレクサンドロスの実母』と書かれていた。
「エレオノーラのおふくろなのか?紹介されたことないしな?なんかヤバい感じの人だな。
エレオノーラが紹介しないなら別に挨拶しなくてもいいだろう」
彼はそう決めると、そのまま、会長室のドアにふれた。
会長室のドアが開いていく。半ば開いたとこで、彼は部屋の中にいた。
「緑くん、なんで私のオフィスにわざわざ来たの?電話かメールくれればいいのに。」エレオノーラの声がした。
彼女は薄ら笑いを浮かべ、色っぽい目線で緑を見ている。
ボロボロの緑は、疲労困憊した足取りでエレオノーラに近づいた。
エレオノーラは微笑みながら足早に緑のそばへ来た。
彫像のような端正な顔立ちに美しい白い肌はノーメイクでサーモンピンクの口紅だけ。
しなやかな肢体を深紅のタイトスカートのティファールの高級スーツに包み 大きな胸開きのシルクの薄いピンクのブラウスは彼女の大きすぎるEカップのバストを目立たなくさせている。
ブルネットの一部を三つ編みに編み込んだ腰まである梳き流した長い髪に銀色のエルメのハイヒール。
「どうかしたの?」
緑「じつは、俺の仕事が・・・・決断できないんだ・・・・あの子らが犠牲にされる。」
エレ「話してみて。」
緑「実は、俺は世界警察機構の命令で、特捜官としてのおとり捜査をこの2か月してたんだ。
ダイナ王国の闇の人身売買組織の捜査で、そのためにきみにも2か月連絡取れなかった。
ごめんよ」
エレ「なにがあったの?」
緑「実は・・・・1時間前に、上司に、俺が手に入れた闇の組織の幹部のすべての証拠を送信するはずだったんだが、
それをすると、いま組織にいる人身売買され、売春させられている200人以上の
15歳から19歳までの女の子たちが証拠隠滅のために殺される。
やつらは絶対、そうする。」
エレオノーラは腕を組んで緑の話を無言で聞いている。
緑「おれの上司のブリオシュ長官は、ぜったい彼女らは安全だ、大事な商品なんだから殺されるはずはない、と言ってる。
でも俺にはわかる。
あの組織に麻薬の売人になりすまし潜入し2か月いたんだ。
彼らがどう考えどう行動するかは俺のほうが予想がつく。
あの子らは殺される。」
緑はエレオノーラに語った。
「俺がこの証拠をブリオシュ長官に送信すれば、世界警察機構は、俺の証拠を使い闇の組織の幹部たちの一斉逮捕を始める。
しかし、あいつらは女の子たちを自分らの犯罪の証拠になることを恐れて、女の子たちを殺す。
女の子たちは体の中に致死量の麻薬のはいったカプセルを飲みこませられてる。
幹部のボタン操作でそのカプセルが溶けて、致死量の麻薬が一瞬に女の子たちの体に放出され即死する。しかも麻薬中毒に見せかけて殺せるんだ。
あいつらにとっちゃ女の子らなんて貧民からまた買えばいい・・・ただの安いごみ同様なのさ・・・」