凶霧市と最上階市では奇妙な事件が起きていた。
手の付けられない不良だった息子たちが家に帰ってきて、
「お父さん、お母さん、ただいま帰りました。僕は宿題と明日の授業の予習をします。」言うなり、自分の部屋の掃除をし部屋で勉強し、食事も家族と談笑し、
「あ、僕が食事の片づけをしますよ」と言って食器を洗い片付けて「おやすみなさい、お父さん、お母さん」と床に就いたきり2日間眠り続けていたことである。2日間眠り続けて、2日目に気持ちよさげに目覚めたが、不良は良い子のままだった。
そういう症状の札付きの不良が市内のすべての高校で12~3人でた。
その結果、凶霧市内と最上階市内の男子高校生の不良グループはほぼ消滅した。
ただ、3日目になっても目覚めない少年が一人いた。
グループのリーダと言われた目尻和人である。
母親はこわもてで知られる国会議員の目尻花子(42歳)である。180センチ以上の身長に200キロを超える巨漢女である。
東(ひのもと)国の首都である東帝都市の一等地の広大な豪邸に住んでいる。選挙区の人々の前ではにこやかで「オシドリ夫婦なんですよ~」などといってるが、選挙民がいなくなると、お手伝いさんしかいなくなると、目尻花子は麺のし棒を出すと、夫で運転手で秘書の目尻三郎を追っかけていた。
花子「このはげーー!!おまえのせいで和人ちゃんが目覚めないんじゃーー。」
麺のし棒で自分より小柄な目尻三郎をボカボカなぐって追っかけている。
本気で殴るので目尻三郎の頭はコブだらけである。
これは この夫婦の毎日の光景である。
花子「かわいそうな和人ちゃん・・・・」
花子「このはげーー!!おまえのせいだーー!!」
麺のし棒でボカボカ殴る!
病院の個室でも人がいなくなると これの繰り返し!!
2日めにほかの少年たちが目覚めたと聞いたが、3日めになっても、和人は目覚めなかった。
いきり立った目尻花子は主治医がくると
「なんでうちの息子は目覚めないんだぁー!!おまえの腕がわるいんだろう!!このやぶ医者め!!」
主治医「息子さんはどこも悪いとこはないんですよ。完全な健康体です。自宅にかえられてもいいんです。多分よほど疲れておられたんでしょう。強引に入院されたのは貴女じゃないですか!!」
花子「なんだとぉ!!・・・・おおそうだ!この病院にも賢者の石の水があったんだよなぁ。あれを私の息子につかえよ!」
主治医「なんの治療も必要ないのに!あれは特殊な薬です。あなたの息子さんには必要ないですよ」
花子「なんだとお!いわせておけば!私も医師の資格はあるんだぞ!免許とっただけで国会議員になったんで、医療経験は0だけど」
花子「私がつかってやる!よこせ!」
主治医「やめてください、ちょっとやめてください、PS水溶液は人類の宝です!あれを使うにはむずかしい高度な医療技術と知識がいるんです!やめてください!」
主治医や看護婦たちが止めるのもきかず、目尻花子は病院の奥の劇薬保存倉庫に乱入しさらに奥にある特別保存庫に収納されていた組織保存液ノーランデュバリ氏液や組織培養液ダムディ液の入った貴重な瓶をなぎはらいPS水溶液を力ずくで持ち出すと、息子の病室に戻りなんと眠っている息子に飲ませ、
花子「この賢者の水って10歳くらい簡単に若返らせる効果があると聞いたわ、よし私も若返るかしら?!」と自分もがぶがぶ飲んでしまった。
・・・・・・・・・
数分後、二人の異形化が始まった。それはとどまるところを知らず、二人はおぞましい化け物になってしまった。
そして眠り続ける和人の病室には目尻花子議員も収容された。
二人は大きなおぞましい化け物の姿になり、病室の2台のベッドに息も絶え絶えの状態で寝かされていた。