緑は自分の携帯電話のウィキを見た。
『フィロソファーズストーン(賢者の石)
命名者は創造者のエレオノーラ女史、スーパータキオン粒子の結晶体。形体を保ち続けるのにつねに莫大なエネルギーを要する。どれくらいのエネルギーが必要かはエレオノーラ女史は未発表。聖書にでてくる賢者の石と同じで死者蘇生、若返りが可能とエレオノーラ女史は語る。つねに水の中に保存され、水のみがスーパータキオンの結晶体の状態に発されるプレスーパータキオン粒子を保存する性質を持つそうで、それはPS水溶液とよばれ医療に使われる。PS水溶液は使用に際し非常に高度な医療技術と医療知識を必要とし操作できるのはエレオノーラ女史のみであるが、賢者の石が存在し保存されているリケトニア公国のアレクサンドロス財団のメディカルセンターにおいて200人の医師団とともにランダムにエレオノーラ女史が選らんだ死者を有償無償で蘇生しており、その医師団は技術を学び世界各地の病院にもどり死者蘇生、若返りが世界各地で可能となりつつある』
緑は携帯電話を閉じた。
緑の横にはリケトニアのシャガール公子がいた。
さっきまでエレオノーラの家で緑の焼いたたこやきをふうふう言いながら食べていた19歳の男だ。
リケトニア公の息子であり王太子だがエレオノーラのまたいとこだそうで、ごくまれに遊びに来る。
エレオノーラと二人っきりで、緑がたこ焼きを焼いて二人で食べていたのに、いつのまにか来ていっしょに食べ始めやがった。
ーーーー空気読めねえ クソガキめ!ーーーーー
緑が嫌なのは、先週まで特捜官の仕事で要人警護で、このシャガール公子の警護を2週間仕事として公私にわたってしていたからである。
「なんで!?」・・・・うざかった。
この19歳の少年の警護はたいへんだったのだ。
ひどい気まぐれのわがままだったからだ。
リケトニア公国警護隊があるのに、なんで世界警察機構の特捜官が、警護せにゃならない。
上司ブリオシュ長官の命令だから仕方がない。こういう仕事もあるのだ。
ここはアレクサンドロス・コンツェルン本社ビルの周りにある芝生の公園のようになっている隣のビルとの間のあそび地みたいなとこである。
公園のようになっていてところどろろにベンチがあり小高い灌木が植えられ小川があり、花壇や小さな果樹園もあってとてもきれいなとこだった。
緑はこれからエウロパ・リニアモータラインで一つ駅むこうの世界警察機構の本部ビルのあるリパ市へ出勤するとこだった。
そこへエレオノーラの弟が出てきた。
この弟はエレオノーラより5歳下だろうか? リュシス・アレクサンドロス。今はアレクサンドロスファミリーの一員としてエレオノーラのコンツエルンの経営陣の重役をになう人物だ。
いまは亡きヨハネスⅡ・アレクサンドロス氏が家出した女子学生だった少女売春婦を行きずりで買って、その結果生まれた男子で、産んだ少女は既に亡くなっている。死んだ父親も認知してないし、祖父のヨハネス1世・アレクサンドロス氏も孫だと認めていないが彼女の行ったDNA鑑定で弟と判明し、エレオノーラが孤児院から引き取った少年である。
エレオノーラはこの弟を溺愛している。
たった一人の弟だからだ当然だろう。