緑が自分の安アパートからタコ焼き機を持ち出した。
途中で必要な材料も買った。
夕食の約束の時間にエレオノーラの家へ行くと、エレオノーラは待っていた。
彼女の部屋で緑はたこ焼きを焼いた。
エレオノーラも笑顔で絶賛してくれた。
とてもいい雰囲気だった。
二人で楽しくたこ焼きを食べていたのに、エレオノーラが口火を切った。
「きみはぜんぜん、女性と遊ばないんだね。」
いきなり思ってもいない話だっので、たこ焼きがオール4個はのどにつかえて慌てて水を飲んだ。
「私が自由にプレイガールしてるのに、あなたも女性と遊ばないんだったらずるいよ。約束違うじゃん。」と意味不明なことをいう。
緑「そんなの俺の自由だろ。互いに結ばれるとき、ほかの異性と遊ぶのは自由って決めたんだ。遊ばないのも自由だろ!」
エレオノーラは黙ってしまった。
そのときお邪魔虫がやってきた。
シャガール公子だった。リケトニア公が年老いてできた息子である。
「やあ、エレ、またいとこの僕が遊びに来たよ。」
エレ「あら、シャガールいらっしゃい。」
ジャガール「うまそうな匂いがするな。僕も食べていい?」
エレ「どうぞ。緑が焼いてくれてるの。とてもおいしいわ。東(ひのもと)の庶民料理よ」
シャガール「うまいなーふはふは」
しばらく、もくもくと食べ続けていた3人だが、いらんこと言いのシャガールが言った。
「エレと緑くんのペアって、着てる服の格差がめちゃひどくない? 見てて笑えるほどに」
それは真実だった。
エレオノーラはティファールのミス・ココのまた新しいビーズ地のえんじ色のスリムなパンタロンスーツを着ていた。これも数千万円するオーダメイドである。
それにレースの手編みのシルクブラウスとエナメルのエルメの深緑色のハイヒール。高価な数百万円のしろものばかりである。
かたや
緑は アパートで着替えてきた新品のジャケットは襟に緑が外し忘れた赤い値札がはためいていた。バーゲン¥1380
緑が自分で手洗いで丁寧に洗ってるお気に入りのすりきれたジーパンはところどころほつれて敗れていた。
3枚1000円の白い半袖Tシャツにお気に入りのワゴン売りの学生用紐靴¥980
ジャケット以外に値札はついてないけれど、
シャガールはエレオノーラに言った。
「これっていくら結婚してなくても、パートナーへの虐待じゃねえ?!」
エレオノーラは答えた。
「私たちは互いに自由だからそんなことには口出ししないのよ。」
シャガール「僕だったら緑くんの着てる服はとても着る気にならないな。要人警護の警護官としてきたときだって、なんだ!こいつの服!とおもったよ。2週間ずっとそう思ってた、だってほかの特捜官みたいにカッコいいスーツ着てないんだもん。大爆笑だよ。」
エレ「税金でなんでも買えるきみが言っていいセリフじゃあないわよ。」
シャガール公子は黙ってしまった。
緑がエレオノーラに言った。
「ごめん きょうはこのあと仕事だから出かけないと。」