1年前の話。
泉はサナ市の公立中学を卒業してすぐ、エレオノーラに頼んで、少女戦隊に入った。
美少女戦隊の存在を知った時に、すぐにエレオノーラに携帯電話して、「入りたい」といったら、
「じゃあ、すぐおいで」と言われた。
けれど両親がいまの中学を卒業することを条件に付けた。
卒業まであと半年の時間が待ち遠しかった。
卒業してその日のうちに、セントバーナド社のスカウトが迎えに来て、すぐにスペクトラム・ステーションに行って、少女戦隊にはいった。
美少女戦隊は13歳~17歳の少女がメンバーで、なんと、なんと、プロサッカー女子Jrリーグのチームだったのだ。
一ノ瀬渚「えええええ!?女子サッカーチームなん?!ありえん!!」
ただし、ホテル並みの女子寮とヒロインアカデミア制服3食すべて無料でおこずかいも1か月かなりもらえるのは魅力だった。
普通の学校の授業以外に、サッカーの特訓が厳しい。
プロ女子ジュニアリーグの2軍としての訓練である。
美少女戦隊に入りたいとおもったのはイメージで入りたいとおもっただけだった。
そして身内のエレオノーラに頼むと、すぐに入れた。
しかしまさかプロサッカーの女子Jrチームだとは思わなかったのだ。
一ノ瀬泉は、兄の緑や姉の渚とちがい運動神経0だった。
泉「えらいことになった」・・・・・・いまごろあわてても、もう遅い。
サッカーの訓練、ヒロインアカデミアの授業、それ以外に、ヒロインアカデミアの制服を着て、スペクトラム・ステーションの案内嬢をさせられる。
毎日、大勢の観光客がエメラルド・シティから連絡飛行船で来るのでその人たちの、当番制で、案内嬢をさせられるのだ。
制服はとてもカッコいいのだが、かなりハードなスケジュールである。
練習試合にきたよそチームの女の子によそのプロ女子ジュニアリーグの2軍の待遇をきけば、ここは涎唾ものの相当良い待遇らしい。めちゃくちゃうらやましがられた。
アースティアラのプロJrサッカーリーグは男女とも、中学高校に就学しながらが条件のプロ活動なので、もともとかなり大変なのだそうだ。
リュシスはプロ男子Jrサッカーリーグに一時入り、そこで天才と言われた。
さすがエレオノーラさんの弟だと。
けれど、男子の中で汗かくその自分の状況と男子部室の匂いに嫌気がさして、すぐにやめ、二度とやらなかった。
けど、偶然、1回だけ美少女戦隊の女の子の誰かにサッカー指導したらめちゃくちゃ尊敬されて、それからやみつきになり美少女戦隊の少女たちにおだてられて、ジェネラル指導コーチになった。
美少女戦隊ではその人を名前だけで呼ぶ。
ファミリーネームは使わないので互いに相手の苗字は知らない。
リュシスも泉がまさか一ノ瀬家の3女だとしらなかった。
泉はリュシスを初めて見た時、その美形ぶりに一目で恋に落ちた。
それから毎日、妄想でリュシスとファーストキスする場面や
教会で二人で結婚式を挙げる場面を妄想するようになった。
リュシスは48人の中で極端にどんくさい泉をいっそクビにしたかったが、エレオノーラの推薦ときいて諦めた。
毎日、毎日、泉を特訓し、毎日ながながと説教した。
泉はリュシスの説教なんか、聞いていなかった。
リュシスが説教してる間は、ずっとポ~として「なんてイケメンなんだろう」と脳みそお花畑状態である。
その日午前中、泉は、リュシスに、またまたヒロインアカデミアの体育館でサッカーのきびしい個人指導をされ、あまりの泉のどんくささ、ひどさに説教されていた。
泉は前の晩、ほかの美少女戦隊の女の子とカラオケにいき一晩徹夜で歌って、そのままヒロインアカデミアへの登校であった。
リュシスは1時間はみっちり泉に説教した。「どうだ、少しは反省したか?」と聞かれ、脳内お花畑状態に睡眠不足がかさなり、その返事のかわりに、泉はリュシスにいきなりキスしてしまったのだ!
今度はリュシス君がパニックだった!!
「!?!?」
泉はさらにこう口走った「リュシスくん、私と結婚して!」脳内妄想で暴走!・・・・恥ずかしっ!
リュシスは「OK!」と答えた。
その結果、二人は結婚の約束をした。
*
その日の昼、エレオノーラが泉を訪ねてきた。
泉が扉を開けると「ハィ」「エレねえ?!」いきなり泉のおでこに人差し指をそっとあてた。
瞬間でエレオノーラのサッカーの知識と技術と経験が泉の脳にダウンロードされて自動セーブされた。
エレオノーラは「じゃあね」ととほほ笑むと踵を返してリュシスの部屋へ向かった。
エレはリュシスから「さっき女の子と結婚の約束をした」という報告を聞いて腰を抜かすが
相手が泉だときいて、喜んだ。