さっき説明してくれた10歳位のお小姓がまた説明してくれた
「この世界の名前はジルコニア。宝石の精霊の住む世界です。
現世と夢の世界と冥界のはざまにある永遠に存在する小さな夢世界の一つです。
この城と都は銀の城と銀の都。
青き女王アルテミシアさまはこのジルコニアを統べる女王さまです。いまはもうあなたの妻ですね。
深い知恵と巨大な魔力を持っている不老不死の永遠の18歳の乙女です。
女王と結婚すると、年老いなくなるのですが、不死ではありません。前の女王の夫の青き勇者の方は見かけは年は取らなかったのですが、女王となかむつまじかったのですが老齢で寿命で90歳で先週なくなられたのです。女王と契っても見かけ年老いなくなるだけで、持って生まれた寿命まで変えることはできません。本来の寿命を生きれば死が訪れます。あなたの前の青き勇者さまの葬儀のあと、1週間喪に服したあと、女王と女王の後見人で叔母の4人の魔女たちが、つぎの夫を選ぶ魔法陣を描き、あなたはそれで召喚されたのです。青き勇者さまはこの世界を守る重要な魔守り人です。少しの間も不在な訳にはいかないんですよ」
と説明してくれた。
「あなたは、この国でほぼ100年ごとに繰り返される、魔法陣により召喚された新たな青き勇者なのです。」
僕は、「なんだかなぁ・・・・・・」
「この世界では離婚は存在しませんから、いやだって言ったって逃げられませんよ」
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今日は何かのお祭り。僕にはわからないけど、とにかくバルコニーの下の広場には、おおぜいの国民が集まって、祝賀パーティが大規模に開催されていた。町の楽隊が城のバルコニーの下で音楽をにぎやかに演奏している。
大勢の国民は・・・・人間にまじって、ぬいぐるみや、おもちゃや、小人、服を着たクマやイヌ、ネコ、ウサギや小鳥がいた。そいつらがまるで、人間と変わらずに自由にしゃべっていた。
女王のおごりの大量のご馳走が大皿に盛られ、ビッフェ形式に街の大きな広場のど真ん中に大量におかれていた。
ケーキにビスケット、クッキーに、そしてたくさんの大甕に満々と色んな種類の果物のジュースやワインやシャンペンが満たされていて、飲み放題。
何千人もの不思議な動物も含む町の人々はてんでに着飾り、楽しそうに女王の気前の良いご馳走を手に手に皿とフォークを持ち、ぱくついていた。
街の街路の垂れ幕に『青き女王主催;新しい青き勇者様歓迎祝賀パーティ』と書かれている
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銀色の城の中に、女王が見えなかった。バルコニーで小姓の少年の説明が長々と続いたので、それを聞いていた腹黒田高校1年の田中太郎は、女王がにこやかにバルコニーに出迎え、彼にキスするとどこかへいってしまったのに気づかなかった。