夜中に目を覚ますと、僕は自分の部屋で自分のベッドで寝ていた。
新しい豪華な家具と新しいベッドに真新しい絹の羽根布団は木の香りと甘い不思議な香りと太陽の香りがした。
朝目を覚ますと、即、数人の若い男の召使が来て、僕を引ん剝くと、柔らかなタオルでいい匂いのするオイルの入ったぬるま湯で僕の身体を3人でささっと拭き、その間に召使が歯を磨いてくれた。新しいタンスの中から、新しいぽい僕サイズの貴族の男用の服を選らんでささっと着せて靴下と靴。鏡を見せながら髪を梳いて勝手にテキトーに香水をシュシュと吹きかけて、僕をひきずって、階下の大食堂へ連れて行った。女王は先に椅子に座っていた。昨日と違う髪型でピンクの小さな花を髪に散らし昨日と違うデザインのやはり豪華な青いドレス。
「おはようございます。青き勇者さま」
僕「おあよーむにゃ」
朝から、昨日、僕が座った場所には、また昨日とは違うメニューの手の込んだ料理が並んでいた。
どれも美味しい、サイコー。
口の周りが汚れると、自分で拭くよりも先に横の召使が拭いてくれる。
また、16歳の健康男子の胃袋でたらふく食べた。
「げぷっ」
僕の食事の済むのを待って、女王が言った。
「きょうは、少し街の外へいって二人で散歩でもして休息しませんか」
女王が誘ってくれたので、ホントは「次の冒険行きたい!」と言おうと思ってたのだけど、一緒に散歩に行くことにした。
銀の城のすぐ外は、広い果樹園だった。たわわにあらゆる果物が実り、街の人々が幾人も自由にもいで、食べながら座ったりして談笑していた。僕と女王の後にはきょうは30人くらいの兵隊がうやうやしく付いて来た。人々がてんでに女王に挨拶をしてくる。
「青き女王さま、青き勇者さま、ごきげんよろしゅう」
「女王様、王家の果樹園は手入れが良くて果物が最高においしいです。いつもありがとう」
女王「どういたしまして」
少し行くと、小さな清水の湧く美しい池があった。とてもきれいな花が咲き乱れ木漏れ日がさして美しい場所だった。だれもいなかった。女王は咲き乱れる花の中に腰を下ろした。兵隊たちがちゃちゃっと少し離れて待機した。
そよ風の中、僕がボケっと立っていると、
「ここに座ってください。あなたは私の夫ですよ」
と言ったので、僕はそっぽを向きながら、理由不明ですごくバツの悪い気分で、女王から顔をそむけながら、顔が赤くなるのを自覚しながら、座った。
女王はそっと僕の頭を自分の膝の上に置くと、僕の髪をなでながら、池のそよ風に吹かれていた。
兵隊が「ご用意できました」というのでうしろを振り向くと、縁に金糸の刺繍のはいった麻のレジャーマットが広げられ、置かれた籐籠のバスケットには、あらゆるお菓子が入っていて、横には蜂蜜のはいったレモンティーが陶器のポットと二人分が美しい紅茶カップに入れられて湯気を立てていた。
僕は女王の膝の上から、女王の美しい顔を眺めていた。
めちゃバツが悪い気がしたが・・・・極楽だった。
(僕ってひょっとしていま王族???)