女王の間に行くと、女王の玉座の左隣に色違いの椅子が置かれている。
女王の椅子は淡いピンクだけど、その椅子はブルーで背もたれの一番上に大粒のサファイアがはめこまれた金の椅子だった。
女王が僕に嬉しそうに言った。「青き勇者様の椅子がようやく出来上がりました」
ーーーへえ、僕の椅子なの。僕はこの人の夫なんだなーーーー
(なんか僕の胸に熱い思いが込み上げてきた)
「座ってみてください。」「うん、いいよ」
僕が座ると、ちょうど良かった。
女王も自分の椅子に座った。
横にいた召使たちが「まるで絵にかいた王様と女王さまですね。お似合いでございますよ。」
女王はちょっと照れくさそう。
今日の女王は青い髪の盛り髪に緑の花を散らしブルーのロングドレスは小さな蝶々がたくさんブルーのビーズで手刺繍で縫い付けられている。
女王の間の端っこに4人の魔女が集まっていた。
大きな藤籠のふわふわの毛布の中で、すやすや眠っている子犬のファイガをニコニコ顔で見つめている。
ファイガは少し大きくなり、銀の器で飲むミルクの量は半端なく毎日30杯は飲む。
ファイガは女王の作るサンドイッチも気に入っている。
ファイガの横に地獄の玉ねぎのタマちゃんが、ファイガが糞をするのを待っている。
タマちゃんはファイガの糞も大好物の様で、おかげで子犬の糞を片す手間がはぶけて丁度いい。
4人の魔女はファイガのことが可愛くて可愛くて仕方ないようだ。
女王は朝からサンドイッチを10個作ってくれたけど、僕が食べれたのは1個・・・・あとは玉ちゃんに1個、ファイガに8個食われた。僕のために作ってくれたのに・・・・・
(タマちゃんが食べている女王のサンドイッチをファイガがいたずら心で奪って食べて味をしめたのが切っ掛けだった)
白い魔女が僕に言った。
「銀の都の西4丁目の101番地に魔法獣の専門の動物学者で魔法使いの男性が住んでいます。その人にファイガについて話を聞いてきてもらえますか?」
僕「うん、いいよ」
僕は銀の都の西4丁目101番地へ行った。ドアをノックすると「どうぞ」と言われたので家に入った。
学者で魔法使いのおじいさんは何か研究中だったが、僕のほうを振り向くと「白い魔女さまからお聞きしています。魔法獣ファイガの子犬が保護されたそうですね。きのう見てきました。確かにファイガですね」
学者「ファイガは一人前になると、誰も教えないのに自分に炎と氷の魔法をかけ、魔法剣士と同じように属性をつけて攻撃するんです。あと口から炎と氷を噴き出します。初代の青き勇者が手なずけたという記録がありますが、詳しいことはわかりません。これはその時、初代青き勇者がファイガに装備させてた魔法の銀の牙と爪ですよ。大人のファイガ用ですが、そのうち使えるでしょう。差し上げますよ。」
僕は学者から魔法の銀の牙と爪をもらった。
学者「魔法獣は周りにある魔法力で成長速度が違います。普通に狼の群れで育つファイガは15年かかって一人前になりますが、保護されたファイガの場合は、周りに青き女王アルテミシア様と4人の魔女様たちという巨大な魔力を持つ方々がいつも周囲におられるようなので、おそらく2~3か月で一人前になるでしょう。」
学者「昔、初代青き勇者様にしかファイガはなつかなかったので、初代青き勇者さまがおられないときは周りの人々は恐ろしくて戦々恐々としていたそうですが。
お話ではあなたがお助けになられたそうなので、あなたの命令しか聞かないと思われますが、とても人懐こいようなので周りの人々にも問題は無いでしょう。本来、人間には無関心な獣なのですが」
と話しながら、僕たちは横をみてびっくりした。
そこにはファイガの子犬が ハッハッハッを舌を垂らしながら、僕を見上げてお座りをしていた。
学者の家の壁には犬1匹通れる穴がぶち明けられてて、僕は学者から壁の修理代を請求され、女王がそれを払った・・・・・・・・