「おじさんは何故逃げなかったんですか?」
「とりあえず、王様に話を聞かせてる女の子が心配です。お城に案内しますので、どうぞ」
石の彫像の男性は店の扉に鍵をかけると、僕の前を歩きはじめた。
「そもそも、王様は良くもなく悪くもないごく普通の王様で、私たちも良くもなく悪くもない平凡な日々をこの町で暮らしていたんですが、ある日あんなことになりまして。」
「そうですか」
「ここがお城です。中に入ってまっすぐ行けば、玉座の間があり、そこにいるはずです。」
「では、ご武運を祈ってます」
お城の入り口には兵隊たちがいたが、青き勇者だと名乗ると、すぐ通してくれた。
「どうかこの国と、王様を引き留めてる女の子を助けてください」
僕は玉座の間に入った。
そこには石人の・・・可愛い女の子の彫像が、一生懸命、話をしていた。
その女の子の前の階段の上の椅子に王様の格好をした彫像が座り、話に聞き入っていた。
僕は暫くその光景を見ていたが、間が持たなくなったので、二人に声をかけた。
「あの、僕は青き勇者ですけど、今来たんですが、王様に憑依した悪魔を退治させてもらえますか?」
いままで、石の女の子の話に聞き入っていた王様の表情が変わった。
「なにぉ。ついに来やがったか。待ちくたびれたぞ!」
女の子は真横に逃げ出して、ぐるっと回って僕の後ろに隠れた。
王様はみるみる姿を変え、七色に輝く石の何か獣の巨大な骸骨の姿になった。
「俺様は、オパールのライオン骸骨さまだ。ここで会ったが100年目。100年前におれの親父が青き勇者に殺された。親の仇!! やあやあ尋常に勝負しろぉおぉお!!」
僕は剣を抜くと
「100年前の話されても僕にはわかんないけど、とりあえず戦いますね」と言った。
剣に身を委ねた。
戦闘開始!!
僕の左手が勝手に動き、盾を構えた。
オパールのライオン骸骨はこちらの守備をさげる呪文を唱えたが、効かなかった。
僕は盾を後ろにもどし、剣を両手で握り力をためてそのまま袈裟懸けに切りかかった。
オパールのライオン骸骨は飛び退ると、後ろに回り込み、女の子を人質にしようとした。
女の子が何か木の実のようなものを口に入れた。とたんに女の子は10倍に巨大化した。
ファイガは気をためている。
タマちゃんは、オパールのライオン骸骨に玉ねぎの汁を飛ばそうと照準を定めているようだ。
巨大化しても、女の子の石の彫刻は可愛かったが、お城の大広間に身体をかがめてようやっと入ってられる状態になった。立ち上がれば15メートルはありそうな石の巨像なのだ。
それのおかげで僕は身を隠す場所ができ 戦いが立体的になった。
僕は力をためるとまた剣を両手でにぎりしめ、今度は水平に切りかかったが交わされた。
オパールのライオンの骸骨は雄たけびを上げたが、効かなかった。
オパールのライオン骸骨は前足でタマちゃんを攻撃しようとしたので、僕の身体が勝手に動き、かばった。
盾でオパールのライオン骸骨の2撃目の攻撃も受け止めた。そこをすかさず、僕の青い剣は足払いをくわせたが、オパールのライオン骸骨は飛び上がって交わした。
さらに爪を構え、そのまま僕の頭部を前足で4撃食らわせた、そして尻尾で足払いをした。
1発はよけたがあとの3発を頭に食らった。くらくらしてた僕は足払いで転倒したが、そのときタマちゃんが玉ねぎの汁を噴射。まともにオパールのラウオン骸骨にかかった。
それをものともせず、ライオンは後ろ脚でジャンプして高い位置から前足の爪を抉り出して僕を引き裂こうと全力をこめて攻撃した。がその攻撃を僕はかわした。(僕がかわしたわけじゃなく、青い剣が僕を操ってるのだが)
オパールのライオン骸骨は後ろに飛び退ると、力をためた。
巨大な石の女の子の陰に隠れ力をためていたファイガがいきなり女の子の頭に飛び上がると、オパールのライオン骸骨めがけて巨大な炎を噴き出した。
オパールのライオン骸骨はその炎を避けようとしたが、その炎は非常に巨大な激しい炎で、僕はタマちゃんをかかえて横に避けた。炎は女の子にもあたり、女の子は泣きだした。
オパールのライオン骸骨にはまともに炎があたり、暫く苦しそうにもがいていたが、そこに僕の身体は剣を両手で握りしめ、ためをしてから一直線に突きの突撃をした。
青い剣は吸い込まれるようにオパールの中に食い込んだ。
オパールのライオン骸骨はすさまじい雄たけびを上げたかと思うと、そのまま輝く砂になり消え去った。
そのあとにはボロボロになった石の王様がたおれて横たわっていたが生きているようだった。