〇月〇日
レンダーシアから戻り、それぞれスキルを見直して、悪霊の神々にリベンジを果たすため、お金を出し合ってコインを購入しようと言う事になった。
今日はその資金稼ぎの討伐依頼で、オルフェア西に集合。
あれ?
パインはまだ来てないの?
先に到着していた、フランとライカに聞いてみた。
「どうしたんでしょうねぇ?」
「あいつが遅れる事なんて今までなかったぞ。」
急いでパインに連絡をするが、返事が来ない・・・
「ちょっと見てくる。」
と言って、フランがオルフェアの住宅村に向かった。
ライカはオルフェアの町を探す。
フランから連絡が来た。
どうやら家にもいないらしい・・・
まだ、待ち合わせ場所にも来ていない。
二人が戻ってきた。
「あんた!何も聞いてないのかい?」
「それか、パインが立ち寄りそうな場所に心当たりはないのかい?!」
あ!!
銀の丘!
口に出すより早く、町を出てドルボードに乗っていた。
パイーン! パイーン!
周りを見渡し、声を張り上げながら、銀の丘に向かう。
途中でパインの姿を見る事なく、銀の丘に着いた。
パイン!!!!
一本だけ立つ木の根元に、パインが仰向けで倒れていた。
パイン!どうしたの?!大丈夫?!寝てるの?!
声をかけ、パインの身体に手をかけた瞬間に、普通ではない事に気付いた。
ねぇパイン! パインってば!!!!
何度呼んでも、身体をゆすっても起きない。動かない。
後をついて来ていた、フランとライカが慌ててかけよる。
「おい!パイン!」
「パインさん!」
フランが、パインの横に丁寧に置いてあった、1冊のノートと手紙を見つけた。
パイン!大丈夫だよ今、葉っぱあげるからね。あと、世界樹のしずくも・・・
ほら、大丈夫!心配ないよ。大丈夫、大丈夫・・・
ねぇ、パイン。・・・はやくおきてよぉ・・・ねぇ・・おきて・・討伐行くんでしょ?みんなで悪霊倒すんでしょ?そのためにみんなでレンダーシアまでいったんだもんね・・・もっとお勉強するんでしょ・・・だからおきてよぉ、目覚ましてよ・・・
フラン!!
呪文で!フランの呪文で何とかしてよ!!!
はやく!!じゃないと・・・パインが・・・
パインが書いたと思われる手紙を、一読したフランが現実を突きつける。
「パインは死んだんだよ・・・その死から蘇る呪文なんて・・ないんだよ・・・」
ライカがせきを切ったように声をあげて泣き出し、パインを抱きしめた。
どうして・・・なんで・・・わけがわからないよ・・・
フランは読み終わった手紙を私に渡すと、流れる涙を堪える様に上を見上げながら、パインが残した1冊のノートを手にして、どこかへ飛んで行った。
そうだ!ここは銀の丘!フォステイルなら!
英雄フォステイルなら!
大丈夫だよパイン!きっとフォステイルが助けてくれる!
いるんでしょ?!!
早くでてきなさいよ!!
大木の横にある扉は、閉まったまま・・・いくら叩いても蹴ってもびくともしない・・・
英雄なんでしょ?・・・
早く出て来てパインを救って!!!!
お願い・・・
パインを助けてあげて・・・
パインを返して・・・
パインを連れていかないで・・・
どうして・・・なんで・・・パイン・・・
ライカは泣きながら、膝の上でパインを強く、優しく抱きしめて、いつまでも放そうとしなかった。