大魔王様は大魔王様らしいことをなさらないッ
それがあのお方のいいところではあるのですが……
何分! 大魔王様としての威厳に関わるのではないですかな?
ムッ……
大魔王様! お帰りなさいませ!
大魔王の主要ポップ地点である大魔王城西翼でまんまと大魔王を捕獲したカーロウは、あーよっこらせと持ち上げられ、エピソード依頼帳の報酬を数えるさまを目の前で見せられることになった。
「最近ねー」
早速大魔王様に威厳ある行動を促さねば! と勢い勇んでいるのを知ってか知らずか、肩書きの多い大魔王は通帳を開いた。
無論、銀行預金ではなく「経験値の通帳」である。
当然のように満タンだった通帳を満足気に眺めつつ、流れるように未カンスト職に転職する。
「効率的なレベリングが流行っててさ、ノーライフロード狩りって言うんだけど。あんまり真面目にやってないのに2日で1000匹倒しちゃった。もっと容量の大きい通帳にしようかなあ」
「ノーライフロード……といいますのは?」
「ゾンビ系のモンスターだよ。あ! 魔界の子じゃないからね」
「それはつまりアストルティアに生息している……」「ええっとね、アストルティアでもないんだよね、ややこしんだけど」
「なんと! ということは我らが大魔王様はその威光を遠い地でも轟かせていらっしゃるということですな!」
なんだ、やはり前大魔王マデサゴーラ様を打ち破ったお方なのである。
噂には1000年ほど前に当時の大魔王不死のネロドスをも屠ったとも言われているくらいなのである。
ノーライフロードなる、大魔王を前にして不遜にも「ロード」を名乗る魔物をバッタバッタと打ち倒し、威厳ムンムンなのであった。
「うーんでも、効率の話をすると1000万くらいならデュラでいい説があるらしくって」
「デュラ……ハーンでございますね、彼らからは嘆願の手紙が山ほど届いてございます。あまりいじめないでやってくださいまし」
「あとゴーレムは呼び失敗しないからいいよね~」
「今度子ゴーレム幼稚園に視察に行ってくださいまし、あんまり狩り尽くさないでくださいまし」
「えー」
カーロウは大魔王が目の前で「まもの使い」に転職するのを見て、静かに黙祷した。
よく考えなくとも君臨している魔界の魔物を全滅させる勢いで狩り続ける大魔王に威厳がないわけが無いのであった。
※ノーライフロード狩りが楽しすぎますというだけ