むーみんのプレイヤーイベント

「時間なんちゅうもんは人間の意識の産物なんやと思うたらエエのや。世界中に人間が一人もおらなんだら時計やカレンダーに何の意味があるっちゅうねん。(中略)人間それ自体がエエ加減なもんなんやから、時間がエエ加減なんも当たり前や。きっちりしとったら、それこそ異常でっせ。確かなのは、こうして流れる現在だけ、そう思ったら、ええのん違いまっか」
(アニメ「うる星やつら２・ビューティフルドリーマー」より)

「邯鄲の夢」

古代中国、趙国の首都で邯鄲ｶﾝﾀﾝという都市があった。その町には夢を叶える不思議な枕を持つ導師が住んでいるという。
ある日、その導師のもとに盧生と名乗る一人の青年が訪れてこう言った。
「私の実家は貧しい農家で田畑も少ししかなく、到底出世など望めそうにありません。よろしければ夢を叶える枕をお貸し願えませんか」
すると導師は快く枕を貸してくれた。
青年は宿に帰り、夕飯の粟粥ｱﾜｶﾞﾕを炊きながら、借りた枕で一眠り。起きて粟粥を食べて朝まで眠った。翌朝、借りた枕を礼を言って返すと、盧生は故郷に帰っていった。

彼が故郷の実家で畑作業をしていると、旅人らしき人から道を聞かれたので教えるついでに、お茶をご馳走してあげた。
翌日、また旅人がやってきて、お茶を飲んで帰っていった。
三度目も男はやってきた。盧生は訝ｲﾌﾞｶしげに思い、男に何者か尋ねた。
すると、男はこの辺りを治める豪族だと言う。貧しいながらも、精一杯のもてなしをする盧生の姿に感銘を受けた。だから是非自分のところで働いて欲しいと言うのだ。
断る理由はない。これも枕のお陰か、盧生は喜んで引き受けることにした。

だが、禍福はあざなう縄の如し。雇われてみたものの、どこの馬の骨ともわからない盧生を先輩の使用人たちが快く思うわけがない。様々な嫌がらせやいじめを受けたが、持ち前の機転で切り抜けていった。
そして遂に側近の地位まで上り詰めた時には、盧生は結婚し子を成していた。

ある日、主人の豪族が趙の国王から呼び出しを受けた。当時の趙は隣の秦国と戦争をしており、将軍として赴任して欲しいとのお達し。
主人に同行した盧生は、ここでも頭角を現し、戦略家としての才能を発揮した。お陰で主人は武勲を挙げ、盧生も王宮内では知らぬ者がないほど名声を得ることとなった。
ところが、ある戦いで大敗北を喫し、盧生は趙国王の逆鱗に触れ、処刑されそうになるのだが、暴君として名高い趙国王は反発する勢力も多く、何者かに謀殺されてしまう。

危うく処刑を免れた盧生は、今度は跡目争いに巻き込まれていく。名君と言われる嘉太子を支持する盧生だったが、亡き先王の遺言により暴君の性格を受け継ぐ遷太子が国王に選ばれたのだ。
身の危険を感じた盧生は、家族を引き連れ、嘉太子をかくまう隣町に身を隠す。

しばらくして、先王の遺言が捏造されたものだと発覚すると、形勢は一挙に逆転。嘉太子一派は民衆の支持を得て邯鄲になだれ込み玉座を奪取。
これらの功労で盧生は、宰相の地位に就いたのだ。
以降、平穏な治世を送るが、晩年いよいよ臨終の時を迎えた盧生は、子や孫に看取られながら、波瀾万丈で面白い人生だったと振り返る。

死の暗闇が意識を覆い隠すと同時に目が覚めた。場所は邯鄲の宿屋。盧生は今まで夢を見ていたのだ。
見ると、鍋の中で粟粥がちょうど良い具合に煮えている。長い長い人生の夢も、粥が煮える小一時間の長さでしかない。
人の一生など過ぎ去ってしまえば、瞬く間の出来事で儚いものだ。盧生は、そう痛感した。

翌日、導師に枕を返し、彼は故郷に帰っていったが、その後の人生が夢の通りであったかは定かでない。
               (中国故事「枕中記」より) さて、都市伝説を語ろうも１４回目となりました。
いつも通りのフリートークです。聞き専門で参加もオッケー。プレゼンで参加もオッケー。ジャンルは問いません。
また、こんな話が聞きたいなど質問要望がありましたら遠慮なく言ってください。
今回も時間延長しそうなので、時間外でも覗いて見れば、まだやってるかもしれませんよ。