青山 プロデューサーより
冒険者の皆さまへ
『ドラゴンクエストX オンライン』プロデューサーの青山です。先日の「ドラゴンクエスト秋祭り2024」でご報告の通り、このタイミングをもちましてプロデューサーを交代いたします。『ドラゴンクエストX オンライン』開発・運営チームは新体制となり、私は卒業させていただきます。
新体制ではまず、私が担っていた『ドラゴンクエストX オンライン』開発・運営チーム総指揮の役割を安西さんに引き継ぎます。チーム総指揮とディレクターを兼ねる新しい役割なので名称を考えてもらったのですが、ショーランナーとのことです!そしてプロデューサー業務を2つに分け、開発プロデューサー部分を小薗さん、運営プロデューサー部分を秋保さんに引き継ぎます。ちなみに私がプロデューサーを引き受けた当時は提案された2人体制を断りました。そのためもしかすると今回のプロデューサー2人体制に矛盾を感じる方がいらっしゃるかも知れません。しかしこれはどちらも「責任者は1人であるべき」という私の組織論に基づいています。今回は安西さんに責任者の引き継ぎをお願いし、この形を構築しました。安西さんは大変になりますが、小薗さん・秋保さんという信頼できる両名のフォローがあります。冒険者の皆さまには安心して変わらず楽しんでいただけることをお約束します。
私はここまで、冒険者の皆さまを中心とした「ドラゴンクエストXコミュニティー」のおかげで、2018年に初代プロデューサーの齊藤陽介さんからプロデューサーを引き継いで約6年間、さらにはその前のテクニカルディレクター期間も含めたサービス開始から計12年以上もの間、『ドラゴンクエストX オンライン』担当スタッフの一人として楽しくやってこられました。いつも暖かく「おうえん」してくださり本当にありがとうございます。たまには(たびたび?)叱咤いただいて反省することもありましたがそれも含めて、皆さまと一緒に創り上げてきたからこそ今の『ドラゴンクエストX オンライン』があります。感謝してもしきれません。改めてそして繰り返しになりますが、本当に本当にありがとうございます。
このタイミングで交代する理由についてですが、『ドラゴンクエストX オンライン』の今後の展開を検討し具体化する期間の中で私が60歳に達してしまいそうだからです。弊社内規定の話はしづらいのであくまでも一般論として書きますが、多くの会社で区切りとされているそのタイミングギリギリまで『ドラゴンクエストX オンライン』のプロデューサーおよび開発・運営チーム総指揮を続けているのは好ましくないと考えました。それならばバージョン7が落ち着いているであろう2024年秋頃に交代するのが適切だと結論付け、昨年秋に安西さんに相談し、快諾いただいた上で、体制変更について議論してまいりました。
『ドラゴンクエストX オンライン』のサービスはまだまだ続きます。そのために「ドラゴンクエスト」全体に対して堀井雄二さんには、僭越ながら個人的な思いとしてこれからもずっと指揮していただきたいです。一方で各担当スタッフである私たちについては、サービスをここからさらに10年、20年と続けるためには世代交代が必要だと、個人的に強く思います。つまり今回のプロデューサー交代は『ドラゴンクエストX オンライン』を長く続けるために重要なのです。もし私の卒業を残念に思ってくださる方がいらしても、ポジティブな話であると理解していただきたいです。
新たに開発・運営チーム総指揮となる安西さんはとてもとても頼りになります。「超ドラゴンクエストXTV」をご覧になっている視聴者の皆さまの中にはもしかしたら不安に思う方もいらっしゃるかも知れませんが、あれは表向きボケているだけです。安西さんとは常に数年後のことを見据えて議論し続けてきました。本当に色々な視点で広くそして深く考えていて、知識も豊富で、いつも感心させられています。これからはショーランナーとして、私よりもバランスよく開発進行およびサービス運営をしてくれると思います。ちなみにこの新名称「ショーランナー」も格好良すぎないことが選んだ理由のひとつらしいです。表向きにはこれからもボケまくると思いますが、そこは笑って、実の部分は引き続き安心して期待してください。
開発プロデューサーになる小薗さんは、少し前の「超ドラゴンクエストXTV」でも紹介しましたが、私がプロデューサーに就任してからずっとプロデューサー実務を担当してもらっていました。つまり私なんかよりずっと、特に内部ではプロデューサーの仕事に精通しています。加えて「新人さんいらっしゃい」を自ら企画して進めるなど、表向きにもプロデューサーとしての力を十分に発揮していると思います。実はもしかすると大胆なことは少し苦手かも知れません。ただしそれは利点でもあり、『ドラゴンクエストX オンライン』が変な方向に進まないよう、これからも誠実に尽力してもらえると思います。小薗さんには安心して後を任せられますというか、既に安心してプロデューサー業務をお任せしています。
運営プロデューサーの秋保さんは、今までもサービス運営を主体的に進めていました。例えば何らかのトラブルがあったときにはコミュニティーの状況と開発・運営チームができることを確認して、その時点で最善と思われる対応方針を決めますが、それは今までも秋保さんが中心になって進めていました。そのあたりはこれからも続けてもらいます。今まではその立場上、表に出ることは少なく、決定された対応方針を冒険者の皆さまに伝えるのは私や安西さんの役目でしたが、これからは運営プロデューサーとして表に出て、色々なことを直接、冒険者の皆さまに向けて話してもらいたいと思います。人前に出るのはあまり得意ではないかも知れませんが、実の部分はしっかりしているので問題ないでしょう。
この三人のほかに、シナリオチーフ成田さん、アートディレクター中津さん、チーフプランナー廣瀬さん、テクニカルディレクター戸塚さん…などなどなどなどあげていくとキリがありませんがとても優秀な多くの開発・運営スタッフも引き続き尽力してくれますので、悪くなる要素はまったくありません。でもそう改めて考えると少し寂しいですね。うーん、いや、そうですね、すぐに「青山がいなくなったせいだ!」と言われる未来が来ると思いますっ(冗談です笑)
なお本文章では弊社スタッフを「さん」づけにしております。ビジネスマナー違反かも知れませんが気持ちを込めた結果としてご了承いただけますと幸いです。
主には以上ですが、せっかくですのでこの場を借りて余談になりますが自分のことをもう少し書かせていただきます。
初代プロデューサーの齊藤陽介さんに、後の『ドラゴンクエストX オンライン』になる新プロジェクトチームに誘われた当時、私は「プレイオンライン」のディレクターをしていました。「プレイオンライン」は弊社オンラインゲーム『ファイナルファンタジーXI』の基幹ソフトウエアです。当時は忙し過ぎてとてもじゃないですが抜けられる気がしていませんでした。しかし新プロジェクトへのモチベーションが非常に高かった私はダメ元のつもりでまわりに相談したところ、なんとすべての方々が私の背中を押してくれて、今に至ります。その方々は今では別プロジェクトで活躍していたり、中には辞めてしまった方もいらっしゃいますが、当時の皆さんのおかげで今の私があります。大変感謝しております。困ったらまわりに相談すれば世の中なんとかなるというのは、二代目ディレクターのりっきーさんも言っていました。
初代ディレクターの藤澤さんとは当時は面識がありませんでした。専門はシナリオのすばらしい方で、私は心より信頼しています。実は何故か最初の自己紹介で自分(藤澤さん)がエンジニア出身であることを、当時の私にアピールしてきて戸惑ったことを覚えています(笑)。私のこともかなり信頼していただいたと思っていますが、それはそうした技術への理解があったからかも知れません。
そこから私は開発チームのテクニカルディレクターとして、今までに得てきた各種ゲーム開発・運営経験、特に「プレイオンライン」で得たオンラインサービス運営経験を活かした自分の集大成として『ドラゴンクエストX オンライン』を創り上げてきたつもりです。優秀なプログラマーおよび開発スタッフに恵まれ、何年、何十年間と続く長期運営のための基礎がしっかりできていると自負しています。またこの肩書のおかげで各所への登壇、書籍「ドラゴンクエストXを支える技術」の執筆やCEDECでの受賞など、様々な経験をさせてもらいました。ありがたいです。
さらにそこから『ドラゴンクエストX オンライン』プロデューサーという、12年前には想像すらしていなかった道を歩むことになりました。とても貴重な経験でした。正直なところこちらは自信をもって十分にやれたとはなかなか言えず、偉大な初代プロデューサーには遠く及びませんが、自分としては全力を出し切りました。まわりの皆さまに助けられて大きな問題はなく進められましたし、思い残すことはまったくありません。エンジニアの範疇では考えもしなかったであろう様々なことを楽しくできてとても満足しています。
最近ではプロデューサー業務にも「超ドラゴンクエストXTV」出演にもだいぶ慣れてきましたが、未だにスタジオでカメラ、つまり誰もいないところに向かって話すのは苦手です。あと噛み噛みなのはお聞き苦しくてまことに申し訳ございません。実は普段はもっと噛み噛み早口で、あれでも外向きのしゃべり方なのです。いやあ、動画配信者さんはすばらしいです!でもそんな私も、配信時のコメントや、オフラインイベントの時にあたたかく「おうえん」してくださる皆さまのおかげで人前で話すお仕事も楽しくできました。こうして思い返すととても幸せです。
今後は『ドラゴンクエストX オンライン』冒険者の一人として楽しませてもらいます。ずっと突っ走って来たのでさすがにお仕事は少しだけお休みをいただきますが、自分のこれからの人生においては常に「今」がいちばん若い時ですので、「若いうち」にまた新しいことに楽しく挑戦したいと思っています!
最後になりますが、冒険者の皆さま、堀井さんおよび開発・運営チーム関係者の皆さま、配信・イベント関係者の皆さま、直接的・間接的に関わってくださった『ドラゴンクエストX オンライン』コミュニティのすべての皆さまへの感謝を込めまして、ご挨拶とさせていただきます。改めまして皆さま本当にありがとうございました!!!そして締めは自分へのねぎらいも込めて、書いてみたかった一言にします。それでは皆さん、すばらしい旅を!
安西 ショーランナーより
冒険者のみなさん、こんにちは。
ディレクターの安西です。
まずは青山さんお疲れさまでした。青山さんとは『ドラゴンクエストX オンライン』のチーム結成のごく初期から一緒に開発を、途中からは共に運営を進めてきました。
あくまで私の勝手な思いではありますが、青山さんという人は「自分に厳しく正直な人」です。毎日一つ一つの仕事を誠実にこなし、緩んでいるところを見たことがありません、そして人にはいつも穏やかな対応をしていました。
ゲーム制作に対しては打算や駆け引きがなく、「できるできない」「こうすればこのくらいの期間で実装できる」とはっきり言ってくれるので、みなが迷わずに同じ方向に進むことができました。
そんな青山さんがチームを去ることとなり、とてもさみしく思いますし、これからの責任の重さを感じています。
ですが不安はありません。プロデューサーの仕事を引き継ぐ小薗さんと秋保さんの二人はとても優秀です。それぞれの個性を発揮してくれれば、よりよい未来に進んでいけると信じています。
そして青山さんから紹介がありました通り、これからはショーランナーの安西となります。
「ショーランナー(ShowRunnner)」聞き慣れない言葉ですよね。映像業界などで使われている言葉で、日本語にすると「開発運営総指揮」となります。総指揮や総監督、統括などほかにもいくつかの候補があったのですが、どれも少し堅苦しさを感じたので新しい言葉を選びました。走っているイメージも気に入っています。
略するときは安西SRでお願いします。スーパーレアみたいでいいですよね!
安西のディレクターとしての仕事や立場に変わりはありません。責任者として青山さんの仕事も引き継ぐことになりましたので、ますます働かなくちゃなりません。
とはいえ私もすっかりおじさんとなり、HP上限が低くなってきました。「いのちだいじに」を心がけつつ、これからも日々走り続けていきたいと思います。
これからも、あたたかい「おうえん」をよろしくお願いします。
小薗 開発プロデューサーより
『ドラゴンクエストX オンライン』の開発プロデューサーを任命されました小薗です。
これまではアソシエイトプロデューサー兼プロジェクトマネージャーとして、開発者の皆様のサポートをはじめ、プロジェクトが計画的に進行できるよう、社内・社外問わず様々な調整業務を担ってきました。
(とてもわかりやすく言うと、”うまいこと回す人”です!)
私は『ドラゴンクエストX オンライン』がサービス開始された後にスクウェア・エニックスに入社しており、元々一人の冒険者としてアストルティアで冒険をしていました。
当然「ドラゴンクエストXTV」を見ておりましたし、生放送の画面で見ていたあの青山さんとこんなに近い距離間でお仕事をご一緒させていただき、さらには業務を引き継ぐことになるなんて夢にも思っておりませんでした。
これからも担当する業務自体に大きな変化はないのですが、青山さんが持っていた責任の一部を自分の責任として、冒険者の皆様に引き続きアストルティアの世界を楽しんでもらうために、秋保さんと共に安西さんをサポートしていきます。
私に関してはまだほとんどの冒険者の方が「え、あんた誰?」という印象かと思いますので、今後の「超ドラゴンクエストXTV」などで色々お話しできることを楽しみにしております!
(当時、青山さんをとっても怖い人だと思って怯えていた話とかしたい。)
新体制含めて、これからも『ドラゴンクエストX オンライン』をよろしくお願いいたします!
そして最後に… 青山さん本当にお疲れ様でございました!
秋保 運営プロデューサーより
この度、青山さんよりバトンの一部を受け継ぎ、『ドラゴンクエストX オンライン』運営プロデューサーに就任しました秋保です。
私はこれまで、情報発信や冒険者のみなさんのご意見収集、開発チームへのフィードバックなどを行う「運営チーム」、公式プレイヤーズサイト『目覚めし冒険者の広場』『DQXショップ』の運営管理に加え、『冒険者のおでかけ超便利ツール』のプロデューサーを担当してきました。
一言でいうと「ゲーム本編開発以外の観点で、みなさんに楽しく・快適に遊んでいただく」ことに携わってきた人間です。
呼び名は変わりましたが、今後もみなさんにより安心して遊んでいただけるよう、そしてきっとみなさんが一番期待しているであろう「ゲームの面白さの追求」に安西さんが集中できるよう、全力でサポートしていきたいと思います。
そして青山さん、長年のご活躍本当にお疲れ様でした。
青山さんがテクニカルディレクターだったサービス初期、よくないことではありますが、突発的な緊急メンテナンスがしばしば発生していましたね。
告知担当としてメンテナンスに参加していた私は、深夜の招集であってもリーダーシップを発揮し、対応・指示出しをしている青山さんの姿を目にしていました。
そしてメンテナンスが終わった翌朝、何事もなかったかのようにけろっと出社している姿を見て「リーダーがこんなに頑張っているんだ。私も頑張らねば」と思ったことを覚えています。
背中で仕事を見せてくれる、偉大なボスでした。改めまして、ありがとうございました。
(今はサービスも安定していてこういったことは減りましたし、なにより働き方がもっとホワイトになっていますよ!)
新しい体制でさらによくなったな! と思っていただけるよう頑張ります。
今後とも『ドラゴンクエストX オンライン』をよろしくお願いいたします!
<小薗 開発プロデューサー / 青山 プロデューサー / 安西 ショーランナー / 秋保 運営プロデューサー>