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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: 魔剣士
レベル
: 132

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レオナルドの冒険日誌

2021-06-25 00:26:45.0 2023-05-20 13:04:18.0テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作 『マージンの一番長い日』その10

「ふ、不発?そんな馬鹿な…オレの爆弾が不発…?一体ど~なってる!?」
ハクトとフツキが合流した頃、マージンはというと、自慢の爆弾が不発に終わるという、あまりの事態にすっかり取り乱し、ブツブツと自問自答を続けていた。
「諦めろマージン。こいつは、ウルベア魔神兵の中でも特別製でね。いつか話したことがあっただろう?ウルベア地下帝国で行われた、時を超える技術の研究。その過程で生まれた失敗作がコイツだ」
「時を…超える?それが一体何だってんだ」
フィズルの話はマージンの理解の範疇を超えていた。どうそれが今の状況と結びつくというのか。
「もちろん時を超えるなんて夢物語は叶わなかったが、こいつは触れたものの時間をほんの少し巻き戻すことができる。せいぜいが3秒ってとこだがな。しかしそれで充分だ。攻撃の衝撃で機構が発動するようにすれば、魔法は魔力の状態に戻って霧散するし、爆弾は爆発の前の状態に戻る。遠距離攻撃はすべて無効化できるってわけだ。残る武器による直接攻撃は、こいつの強固な装甲にはそもそも効かない。いわば、完全防壁ってわけだ。俺のMPが仕掛けの原動力ってのが唯一の弱点だが…」
そこで一旦話を区切り、ベルトから取り外した薬管に内包された青い液体を飲み干すフィズル。
「これで解決する。ゲプッ」
マージンの爆弾を無効化した代償としてフィズルが失ったMPはけして少なくない。薬管に詰めたけんじゃのせいすいを飲み干したフィズルの口元から、下品なげっぷがこぼれた。
「既にヴェリナード城の宝物庫から、詰め込めるだけのゴールドは頂いた。こいつは失敗作だが、時を超える可能性でもある。ゴールドと時間さえあれば、この技術を完成させられるはずだ。俺は必ず過去に戻って、サンドストームの壊滅を食い止めるんだ。お前にとっても、悪い話じゃないだろう?」
そもそも、ヴェリナード城からここまでも全力疾走でやってきた。疲労から俯き、肩で息をするマージン。その表情は、帽子で隠れてフィズルには見えない。
「いいや、悪すぎるね。最悪だよ。…知ってたかアニキ?俺の嫁、ティードはな、ダンディなオヤジが好みのタイプなんだ」
「何だお前、あのじゃじゃ馬と結婚してたのか?…しかし、そうか、ティードも生き残っていたんだな」
死んだと思っていた仲間が生きている。自然とフィズルの顔に笑みが宿る。今朝方酒場でエルフの青年からマージン、という単語が出てきた時もそうだった。見ず知らずの相手に不意に話しかけてしまう程、フィズルはそのことに喜びを感じていた。
そして一方、サンドストームの話を持ち出され、悲痛な表情のフィズルを見た時。正直マージンの胸には、同情の念がわいた。しかし、しかしだ。
「はっきり言ってな、オレは本来、ティードのストライクゾーン外角ギリギリにも収まってないんだ。あの日の出来事が無かったら、オレはティードを口説けないかもしれない。そうしたら…」
ぐっと息を呑みこむマージン。

「オレはハクトに会えないじゃねぇか!!」

雄叫びに近い啖呵をきり、マージンは怒りの形相でフィズルをキッと睨みつける。
「あんたが過去にしがみつくのは勝手だ。好きにすればいい!でもな、オレが掴みとったモンを、壊させやしないぞ!!」
残る力を振り絞り、駆け出すマージン。
「ついでにあと一つ!爆弾はな、魅せる物なんだよ!芸術なんだよ!!くだらねぇ理由の為に爆弾を使ったアニキを、俺は絶対に許さない!!」
先ほど無効化されたギガ・ボンバーを拾い上げ、防爆布で作られたグローブで握りこんだままのそれを、直接フィズル・ガーZに押し当てながら、開いている左手で起爆スイッチを押しこむ。一瞬右掌を激しく押し返す灼熱と手ごたえを感じたものの、やはり先ほどまでと同じように、爆発は打ち消されてしまった。ポウッとマージンの右腕ごとほのかな白い光に包まれ、それが消えると、ご丁寧に掌の熱感も消えている。力尽き、ダランと下がったマージンの掌から、ギガ・ボンバーが零れ落ちる。
「はっはっはっ、楽しいなぁマージン。昔を思い出すよ。まあもっとも、あの時吹っ飛んでたのは俺の方だがなぁ」
お返しとばかりにフィズル・ガーZから打ち出された小型爆弾が、マージンの眼前で炸裂した。とっさに腕を組み身を守ったが、爆風に吹き飛ばされ、外壁に激突した。
「がっ!はぁッ…!」
「俺はこれから、駅を爆破しに向かう。大地の方舟で増援でも送られたら、面倒でたまらんからな」
追ってくるなよ。遠ざかっていくフィズル・ガーZの後ろ姿。フィズルの忠告のような言葉に、激しい痛みから睨み返す気力もなく、マージンはただ横たわるのだった。
                                続く
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