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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2021-07-07 00:42:06.0 2023-06-27 23:39:13.0テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作 『ドルブレイブ・アッセンブル』その14

「おっと、すまない爺さん、大丈夫か?」
ヴェリナード市街をひた走っていたマージン。曲がり角から歩み出た老人と肩がぶつかってしまった。
「ああ、大丈夫じゃよ」
「そうか、良かった。急いでるんだ、ホント、すまなかったな!」
老人の状態の確認もそこそこに、再び走り出す。
「だから待てと言っているだろう、マージン!」
「ユナティ、貴女も貴女ですよ!ちょっと落ち着いて!!」
マージンに続き、ユナティ、アスカが往来をかけていく。老人はお尻の砂埃を払いつつ、その様子を細い目でじっと眺めていた。
「…あの方角。ふむ、確かマージンといったか?それに、魔法戦士団の副団長、ヴェリナード王国軍の少佐。ほっほっ、BS-03の性能試験にはちょうどいい。フィズルの玩具とは、訳が違うぞ?」
3人に背を向け、老人は杖を突きながらその場をあとにするのだった。

異種族間の結婚は、当人達の間の強い意志があれば認められてこそいるが、とても珍しい事案だった。また、異種族間である為か、その間に子供が生まれたとなればなおの事、稀な話である。ヴェリナードには現在、異種族間かつ、子供をもうけている夫妻は、わずか4組だった。
「マルコム夫妻が帰国したのは、昨日だったな?」
ようやく追いついてきたユナティとアスカにあらためて確認するマージン。
「渡航申請書ならびに、入国管理書類によればそうなっている」
「ええ、入国管理局からの報告でも、お子さん、オリバー君を連れての3人での帰国という事でした」
ひとかどの冒険者であれば、キーエンブレムを持ち、基本的に国家間の移動、移住はフリーパスとなる。だが、当然ながら誰しもがキーエンブレムを持ちえるわけではない。ではそういった民草はどうするのか。それが渡航申請書である。生まれ育った街の城、ないしは行政機関にて発行されるそれは、限定的ながらもキーエンブレムに等しい権限を持つ。ヴェリナードに住まいを構えるウェディ男性とドワーフ女性、そしてその息子のオリバーの3人家族であるマルコム一家は、2年前からちょうど昨日までの予定で、5大陸すべての地への渡航申請、ならびに、特定の住居を持たず、各地において宿の利用、それに際して身元の証明を得ていた。つまりは、どこにいるのかの特定が困難であり、それゆえに誘拐事件の被害を受けていなかったのではないか。他の同じ境遇の子供たちが被害にあっている以上、ヴェリナードに戻ったマルコム夫妻の一人息子も危険にさらされる可能性がある。そしてそんな3人の結論は、最悪の形で結実した。

目の前で倒れているウェディ男性とドワーフ女性はおそらくマルコム夫妻であろう。そして、小柄な子供を脇に抱きかかえる、エルフの少年の姿がそこにある。ドワーフの特徴を濃く受け継いだのか、マルコム夫妻の一人息子オリバーは随分と小柄だと戸籍情報にあった。だがしかし、オリバーを片腕で持ち上げているエルフの少年の姿は明らかに異様である。
「どう見ても親子喧嘩って感じじゃ、ないわな」
見るからに外観に似合わない怪力もそうだが、マージン達の様子をじっと見つめる少年の双眸は、ピクリとも動かない。
「状況を認識中…敵性勢力と接触と判断…師不在につき、独断での演算を解禁する…」
少年はブツブツと呟くと、ぱっと子供を手放す。ドサリと音を立てて地面に横たわるマルコム夫妻の子供。
「てめぇ!何てことしやがる!」
激昂するマージンを余所に、少年は淡々と口にした。「ドルセリンチャージ。邪・装・展・開」
カチャカチャと音を立て、少年の肩口から、質素な印象を受ける白いシャツを突き破り、クモの足のような細く長い金属のアームがまろび出る。そのアームの先端には、注射器が固定されていた。そのままずぶりと、黒の簡素なチョーカーの上から、針が首に突き立てられる。ズズッと音を立て、シリンジの中身、黒紫色の液体が少年に注入された。
「ドルセリンチャージですって?」
その口上に、アスカもマージンも戸惑いを隠せない。しかしそれは記憶の中では最も熱い言葉だったはずだ。だがしかし、今耳にしたそれは、聞いたことのない冷たさを孕んでいた。そして迸る、暗い閃光。それが収まると、やはり既視感のあるシルエットが浮かび上がった。
「ドルブレイブ…なのか…?」
海底離宮で共に戦ったドルブレイブに、紫の戦士はいなかったはずだ。あれから今日までの間に、もしかしたら増員しているという可能性は考えられなくもないが、しかし決定的にそうとは思えない理由が一つ。
「欠片も勇気(ドルセリン)を感じねぇ」
あの日あの時、海底離宮で目の当たりにした熱い闘志を、目の前の戦士からは微塵も感じられないマージンなのであった。
                                続く
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