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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: 魔剣士
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2021-08-02 23:22:53.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作 『フライナさんの笑ってはいけない絵画教室』その⑤(完)

「あ、いたいた、フライナ!」
私の責任ですから、と一人で片付けようとしていたフライナだが、3人の方が食事も早いと、強引に手伝いに加わったマージンとハクト。ちょうど工房の片づけも終わり、外へ出た所で、グレンから戻ったティードから声がかかる。
「奥様、おかえりなさいませ」
丁寧に迎えるフライナの、小脇に抱えているスケッチブックに目が行くティード。
「あ、それ…」
「そうなのです。奥様、お詫びしなくてはならないことが…」
自身が持ち込んだ物で、主人の財産を破損するなど言語道断。解雇も覚悟の上で、お詫びを告げようとしたフライナを遮り、ティードがまくしたてる。
「聞いて頂戴、フライナ!マーちゃんもハクトも、私の絵を馬鹿にするのよ!?」
「おっと…」
「あ、いや、そのね…あはは…」
あきらかに潮目が変わったのを敏感に察知するマージンとハクト。
「…はて?そういえば、マージン様のナイフは、先ほど空を斬っていらっしゃいましたね?ハクト様も、何一つお分かりでなかったご様子」
くるりと振り返り、自分たちを見つめるフライナの視線に、マヒャデドスの如き冷たさを感じ取るマージンとハクト。
「だから、今日の夕飯は抜きにしてやるの!」
「なるほどなるほど、そういうお話でしたか」
「いやっ、ちょっと待って!後生だから!」
「ごめんなさい母さん、この通りです、許してください!」
それはそれは見事に息の合ったダブル土下座だったそうな。
「しかし奥様、夕飯を抜きというのは私も流石に心が痛みます」
「情けをかける必要は無いわよフライナ!」
「一度、チャンスをあげてはどうでしょう?僭越ながら私が一枚絵をしたためますので、何を描いたか、お答え頂けるようであればお食事を差し上げようではありませんか」
「う~ん、まあ、フライナがそういうなら」
「「ありがとうございます!ありがとうございます!!」」
ティードの絵であれば絶望だった。だがしかし、フライナの絵であれば。希望が見えたと喜ぶマージンとハクト。しかし、気絶していたマージンはもちろんの事、ハクトも失念していたのだ。ぴたりとティードの描いたモノを言い当てた、フライナの美的センスを。

「奥様、少々飲み過ぎでございますよ」
「だ~いじょ~ぶだいじょ~ぶ!」
ティードがすっかり頬を赤く染め、フライナに支えられながらマイタウンとは異なる本宅へと戻ったのは、すっかり月が眩しい夜の盛りになっての事だった。フライナの描いた竜を、3度のチャンスを与えられるも解答することのできなかったマージンとハクトを残し、ティードとフライナはグレンの酒場で舌鼓を打っていたのだ。既に眠りについているマージンとハクトを起こさぬようそっと、ティードにお水を飲ませてからベッドに横たえ、借り受けているスペアキーで施錠してマージンの本宅をあとにする。ティードは、相当お酒に強いうえ、気を許した相手の前でないとああまで酔うことは無い。その事実を知るからこそ、フライナの頬も上気する。
「おやすみなさいませ」
最良の雇主と巡りあい、自分は幸せだ。誰が聞くでも、見るでもない。それでも深々と、頭は下がる。

フライナは月に何度か、コンシェルジュの仕事の都合もありマージンのマイタウンに泊まり込む。今日もティードを送り届けたのち、マイタウンへと戻った。質素なもので良いと進言したのだが、マージンもティードも、共に暮らす家族だからと、工房の中、フライナの為にすわり心地の良い専用の椅子を用意してくれている。雇い主の心遣いに感謝しつつ深く腰を沈めると、回収したスケッチブックを紐解く。最初のページからびっしりと、一枚一体ずつ、緻密なスケッチでモンスターのイラストが並んでいる。様々なモンスターが描かれているが、やたらとばくだん岩が多いのは、もちろん、実用性もあるだろうが、それだけであれば、眠っている姿や、大爆笑している様など、ありとあらゆるシーンを切り取る必要は無かったはずだ。きっと、もとの持ち主の趣味に違いない。そう考えると、必然の一致からフライナの胸に暖かい気持ちが浮かぶ。
「このページが、無事で良かった」
使用済みのページの、最後の一枚。このページだけ、イメージを具現化させる画材ではなく、通常の絵筆で、ゆりかごに収まり、すやすやと眠る赤ん坊が描かれている。
『愛しい我が子、マージン』
左下隅に刻まれた、タイトルとも覚え書きともとれる一説をなぞる。
「これは、しかるべき時にお渡ししましょう」
そっとスケッチブックを閉じ金庫にしまうと、マイタウン内の建物清掃に出るべく、掃除道具を手に立ち上がるフライナであった。
                               ~Fin~
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