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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2021-08-09 23:32:03.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『ドルブレイブ・アッセンブル!』その32

「よいしょっと」
セ~クスィ~と違い、そこは慣れたもの。ハクトはコロリと湯沸かし玉を投げ入れ、爆弾工房横の露天風呂に火を入れる。食事を終え眠りにつく前に、これまで眠っていたため蒸しタオルで済ませていた体の汚れを流そうと、ハクギンをハクトがお風呂に誘ったのだ。鈴虫の声に包まれながら、湧き上がる湯気が二人を誘う。
「ほら、その椅子に座って」
「うん」
ハクトに促されるがまま、服を脱いで片付けると、タオルを腰にまき、浴槽と同じくヒノキで作られた簡素な椅子に腰かけるハクギン。
「ちょっと熱いかも。そっといくよ」
肩口からそっと、湯桶に満たしたお湯をかけ流していく。
「~~~っ」
「あ、大丈夫?」
「うん、平気、ちょっとびっくりしただけ」
「そっかそっか」
湯桶の中身を流し切る。それを2度、3度と繰り返した後、ハクギンの体に湯が未だ纏わりついているうちに、湯桶とともに携えたタオルでその背中を洗っていく。
「どうかな?」
「ん?」
「ほら、フライナさんもさっき言ってたじゃない?食事とか、お風呂とか、普段の生活と同じことをしてみるのが、案外一番記憶が戻る近道かもしれないって」
すっかりお寿司の美味しさに圧されて話半分ではあったが、確かにそんな会話を交わした気がする。
「う~ん…ダメみたい」
「そっかぁ」
ハクギンはハクトからタオルを受け取り、背中以外を洗う。同時にハクトはシャンプーを泡立て、ハクギンの髪を洗った。
「ハクギンは湯船に入る習慣がない…シャワーが主流の地域出身なのかな?」
「そうなのかも。今度はボクが洗ってあげる」
「あ、うん、じゃあお願いしようかな」
席を入れ替わると、ハクトの見よう見まねでワシワシとシャンプーを泡立て、髪から洗いにかかるハクギン。やわらかな泡を髪にもみ込んでいく手が、不意にハクトのおでこの辺りで止まる。
「…?」
ハクトのおでこに、ほんの小さなものではあるが、しこりの様な感触を覚え、戸惑うハクギン。
「あ、ああ、気にしなくていいよ、ハクギン。たんこぶとかじゃないから」
ハクギンが何に気付いたのかを察し、前髪をかきあげて見せるハクト。その額、ちょうど生え際の辺りに、瘤とも角とも言えないほんの小さなふくらみが左右一つずつ。
「これは一体…」
「ハクギンはさ、不思議に思わなかった?」
「何が?」
「ほら、母さんと僕の事。母さんはオーガだけど、僕は肌も白いし、背も…低いし。全然似てないじゃない?」
自ら気にしている身長の話で心をえぐってしまいつつも、ハクギンに問いかけるハクト。
「…それっておかしい事なの?」
「そっか、そうだよね、名前は思い出してもまだまだ色々…。今ちょっと、お仕事で出かけてるんだけど、僕の父さん、人間なんだ。父さんは人間で、母さんはオーガ。だから、ほんの少しだけど、僕の体にもオーガの特徴があってね」
そっと瘤をさするハクト。どうせなら、受け継いだオーガの要素は恵まれた体格が良かったと思いながらも、母とのつながりを感じさせてくれるその小さなふくらみが、ハクトはとても気に入っているのだった。
「人間と…オーガ…ボ、ボクは…ワタシノ…モクテキハ…」
そうだ。自分には、与えられた使命があったはず。それは。それは…。ハクトの言葉をきっかけに、急速に薄暗い思考へと引きずり込まれていくハクギン。
ザバーッ
「ぷあっ!?」
闇に呑まれようとしていたハクギンの思考を、照れ隠しにハクトが浴びせた湯桶のお湯が洗い流す。
「ぼ~っとしてると、湯冷めしちゃうよ」
「やったな、このっ」
負けじとお湯を浴びせあう二人。今このひとときだけは、思い出せない過去も、不意に浮かんだ黒い記憶も、ハクギンはその全てを忘れて楽しい時間を過ごしたのだった。
                                続く
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