「ティード、すまないが、手伝ってもらえるか?」
「もちろん!」
「ハクギンとハクト君は、先に牢屋へ向かえ。子供たちを逃がすんだ。あの化物は私とハハックで足止めする!」
「ええっ!?危ないよ!皆で一緒に子供達と避難しようよ!」
アカックブレイブとティードに交互に視線を送り、思いとどまらせようとするハクト。
「それが難しいのは、わかるでしょ?大丈夫、とっとと片付けて、後を追うわ。さ、ハクト、忘れ物よ」
ティードは不安を紛らわせるようにハクトの頭を撫で、ハクトがコートとともに持ち出そうとするも慌てていたため忘れてきてしまった彼の剣を手渡した。
「ハクト、ハクギンと一緒に、しっかりやるのよ。ハクギン、ハクトをよろしくね。あなたも、怪我しちゃダメよ?」
「わかった…」
「はい、ティードさんも、お気をつけて。さぁ、ハクト、こっちが近道だ」
走り去る子供たちの後ろ姿を見つめるティード。
「頑張りな、小さな勇者たち」
遠ざかるその背中に、そっとエールを送る。
「すまないなハハック、貧乏くじを引かせた」
「構わないわよ。私だって、一端の冒険者ですからね。しかしそれにしても、随分見違えたわね、ハクギンったら。それにハクトも」
「ああ、そうだな。我々も負けてはいられない!往くぞ!!!正義を照らす、情熱の炎!!アカックブレイブ!!!」
「へっ…!?」
突然名乗りを上げ、ポーズをとったアカックブレイブに訳が分からず戸惑うティード。困惑の最中のティードへ、アカックブレイブの熱い視線が向けられる。
「もしかしてやるの!?私も!?」
無言で頷くアカックブレイブ。
「いやいやムリムリ、そんなの急に思いつかないし…って、あ、物凄くガッカリしてる!?」
明らかに悲しい視線をティードへ向けるアカックブレイブ。
「いや、いいんだ。ハハックは今回が初変身だからな。仕方ない。私が代りに口上を決めよう。そうだな…うむ…よし」
「…不安しかないわ」
アカックブレイブの耳には届かぬよう小声で呟くティード。
「正義を照らす、情熱の炎!!アカックブレイブ!!!そして、子を想う大いなる愛の戦士!!ハハックブレイブ!!!」
「…お、おー」
あんまりにもあんまりだと思いつつも、先へ進まないので致し方なくポーズをとるハハックブレイブ。
「「さぁ、往くぞ!!!」」
気合充分、シドーレオのあとを全力で追うアカックとハハックであった。
続く