いつの間にやらシドーレオの傍らにたたずむ老人が、嫌味な笑みを浮かべながら問いかける。
「先ほどの言葉をそっくり返そうかの。まだやるかね?何なら、苦しまぬよう一息に殺してやるぞ?」
「まだやるか、だと?もちろんだとも。ご老人、まさか5人揃った我々に、勝てるとでも思っているのか?」
うっすらと笑みすら浮かべ、毅然と老人を睨み返すセ~クスィ~。
「5人?どう見ても、4人にしか見えぬが…ダメージが脳に来ておるんではないか?」
「答えようご老人。最後の仲間は、そこにいる。その醜悪なる腕に打ち込まれ、今なお傷を刻み続ける扇の破片。今の我らと同じように、友の為、家族の為、後の世の人々の為命を懸けて戦った古の勇士の心は、今なおここにある!」
500年前。シドーアームを引き留めるため、ワッサンボンが打ち込んだ扇の破片。それは未だシドーレオの腕の付け根に深々と刺さり、その傷口から青黒い血を噴き続けていた。
「意志は!希望は!そして勇気は!確かに我々に受け継がれているのだ!!」
シドーアームを鎮めるために振る舞われた、アラハバキの舞。今この瞬間、セ~クスィ~の啖呵とともに、この場にいる者は等しく、確かにドワーフの勇ましくも美しい姿を幻視した気がした。
「い、今の幻は一体なんじゃ!?」
ごく一瞬の時。荒々しく、それでいて流麗に舞い踊る踊り子の幻影が消え去ると、4人の体から凄まじい金色のオーラが迸る。
「エネルギーを持った残留思念だとでも言うのか!?馬鹿な!?」
500年前に活躍した伝説の踊り子ワッサンボン。決して夢幻ではなく、その力強い舞が、4人に力を与える。勝鬨の声が、雪原に響き渡った。
「「「ドルセリン・チャージ!!」」」
「ボンバー・チャージ!!」
「「「魔装展開!!」」」
「装甲着装!!」
「正義を照らす、情熱の炎!アカックブレイブ!!」「子を想う大いなる愛の戦士!ハハックブレイブ!!」
「闇に生まれし一筋の光!ハクギンブレイブ!!」
「小さな体に大きな勇気!ブレイブジュニア!!」
「「「「五つの道が交わる時!我らの前に敵は無い!!超駆動戦隊ドルブレイブ!見参!!」」」」
息ぴったりにポーズを決めた瞬間、ドルブレイブの背後で紅蓮の大爆発が起こる。
「なっ、一体何が爆発したんじゃあ!?」
戸惑う老人を尻目に、ヒーローは間髪入れず畳み掛ける。
「行くぞハハック!」
「応!」
駆けだすアカックとハハック。
「アカック!」
「ハハック!」
「「ダブルラッシュ!!」」
一撃一撃が挌闘の奥義、正拳爆撃の威力を伴う拳。それを無数に右から左から、二人がかりの連撃がシドーレオに降りかかる。やがて体の節々があらぬ方向へ歪み、無残な様相を晒すシドーレオ。しかしドルブレイブの猛攻は止まらない。アカックはハハックとともにシドーレオから距離をとると同時、自身のドルセリン管をジュニアへ投げる。
「ブレイブジュニア!これを使え!!」
「はい!」
「ドルセリンチャージ!!」
ジュニアはアカックから投げられたドルセリン管を剣の柄に接続する。ジュニア自身、そんな機構を付けた覚えはないが、アカックの強い言葉に、やれる気がした。
「爆・全身全霊斬り!!!」
接続されたドルセリン管の分だけ伸びた柄を、両手剣のごとくしっかりと握り上段に構える。ギガボンバーのエネルギーがドルセリンの力とアカック、ジュニア両名の勇気を取り込み、長大な光刃を形成する。
「ハァァァァァァッ!!!」
地を割るが如く、眩い光の帯がシドーレオを蹂躙した。
続く