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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: 魔剣士
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2021-09-19 00:23:04.0 2021-09-19 08:35:12.0テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『幻列車の浪漫』その5

「えぐみマークツーの突貫工事の腕前を見込んで、ある所に社を建ててほしいんじゃよ」
「寺社仏閣、ですか。ふむ…」
こと寺社仏閣に関して言えば、専門色の極めて強い分野。
悔しくは思うが、単純に考えて自分より適任と思える名工の名が、ロマンの脳裏にもすぐさま幾人か浮かぶ。

そんなことは先方は百も承知のはず、それでもOZの扉を叩いた理由を無言で問う眼差しに、ホーローはロマンを選んだ判断に間違いは無かったことを確信し、ニンマリと笑顔を浮かべる。
自身を正しく評価できる相手は、信頼できる。

そしてロマンもまた、知っている。
こういう表情を浮かべた相手は、その次に、とんでもない条件を言い出してくるのだ。

「建てる場所がまた、特殊でな。社を建ててほしいのは、あの世とこの世の狭間。幽世を走る、列車の中じゃ」

応接室に重たい沈黙が流れる。
「う~ん、さすがにそいつは想像の範疇を越えてましたね」
「ほっほっ、そうじゃろうな」
「しかしなるほど、それでそちらのセイロンさんが絡んでくるという訳か」
「ご明察、それではここからは私がご説明いたします。まずはこちらを」
ホーローからスイッチし、セイロンが懐より一冊の本を取り出す。

無闇にポップな色調とイラストで飾られた表紙には、『そうだったのか!!死後の世界』とこれまた緊張感の無い書体で記載されている。
「そちら、我らデスマスターの偉大なる同士、デズリンの手による指南書です。本来は門外不出なのですが、特別に」
「はぁ…ありがとうございます」

業界によってその辺の違いはあって当然だと思うものの、師匠の元、厳しく理不尽な下積みの時代を思い出し、手に取ったファンキーな指南書の重みに、所変われば何とやらか、としみじみ思うロマンであった。

「3~4ページの見開きをご覧ください」
「ふむふむ」
表紙に違わず、中身も底抜けに明るいイラストが続く。
しかし事実として、何だかちょっぴり悔しい気もするが、正直とても分かりやすかった。

「死後、その魂は天へと昇り、転生の時を待つこととなります。分かりやすくいえば、天国へ昇る訳ですね」
「あながち広く伝わってる死生観に、間違いはないんだな」
「そうです。しかし、魂が天へと昇る為には、多くのエネルギーが必要になります。エネルギーとなるのは強い想いの力、よほど満たされ後腐れの無い成仏を果たした場合を除いて、個人の魂が単独で天へと昇るのは困難を極める」

セイロンの説明だけでは知恵熱で煙を吹いていたかもしれないが、指南書のシンプルかつ絶大なる解説力がロマンを的確にサポートし、なんとか話についていくことができた。

「その為、定期的に寄り集まった魂たちが、一つの集合意識体として一度気に天へと昇るのが一般的です」「集合意識体…」
「ロマン様もお聞きになった事があるのではないですか?『深き森の幽霊列車』のお話…」

エルトナ大陸、夢幻の森奥地に、使われていない大地の箱舟の線路が残されている。
半ば土に埋もれ草木に覆われ、完全なる廃墟と化している線路の上を、深夜に走り抜ける列車を見たというよもやま話は、アストルティア七不思議の一つとして語られている。

曰く、列車が自分の体をすり抜けていった、どこからともなく現れて一瞬で消えてしまったなど、広く伝わった噂話の典型で、そのバリエーションには枚挙に暇がない。

「天へと昇る行程は、いわば旅のようなもの。長旅のパートナーと言えば大地の箱舟。死者達の無意識のイメージが、列車を形作って天へと昇るのです」
ロマン自身、ただの与太話だと思っていた七不思議の一つが、セイロンの説明と指南書により妙なリアリティを持ち、穏やかな語り口調とも相まって、背筋がうすら寒くなる話にロマンの喉がゴクリと鳴る。

「あの幻の列車は、死者の魂が走らせているのですよ」
                                続く
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