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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: 魔剣士
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2021-09-28 23:11:49.0 2021-09-29 00:10:39.0テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『幻列車の浪漫』その8

「お久しぶりです、ロマン様。準備は整いましたでしょうか?」
約束の日。待合せの地、アズランへと、セイロンはやってきた。

「おう、久しぶり。ばっちりだぜ」
ロマンの背後には、白いベールに覆われた巨大な物体。
打ち合わせ通り、例のスワンボートは入手できたようだ。
なにやらもぞもぞとベールの下で動いている気がするが、セイロンは気にしないことにした。

スワンボートの入手にあたり、どのような手段をとったのかは、正直セイロンにはどうでも良かった。
霊的な力が一番静まる新月の日、そして各地の目撃情報をもとに、その日に列車がどの地方に最接近するのかを調べた結果が、今日この時、アズランの地である。

突入時のリスクを最小限に抑えることを考えた結果、一ヶ月もの時を必要とすることになってしまったことは、とても大きな誤算だった。

この一ヶ月の間、幽霊列車暴走の影響を最小限に鎮めるため、セイロンはもちろん、ほぼほぼ全てのデスマスターたちは不眠不休の心づもりで対処してきた。
皆体力面も精神面も限界だ。成功させる以外に道はない。
セイロン自身も、そのためには何でもする覚悟がある。

「そういえばセイロンさん、死後の世界の材質について、もう一度聞いておきたいんだが…」
ロマンが疑問視しているのは、列車内に社をどのようにして建立すればよいのか、という点だ。
「なんなりと。しかし、刻限が迫っています。手短に」 
ロマンは依頼を受けた際に譲られた『そうだったのか!!死後の世界』を懐から取り出し、7ページを開く。

「死後の世界で目に映るものは全て、もとは魂であったもので形作られた造形物です。未練なく旅立った魂たちはこの世での自我を無くし、粘土の様な不定形となる。それが未練により未だ自我を持つ魂に引きずられ、形を成すのです」

ページの中ではやはりポップな絵柄で描かれた少年が、こねこねと粘土のようなもので遊んでいる様子が描かれている。

「しかし曖昧なイメージ、外観のみで中身を伴わなければ意味を為さない。粘土細工は所詮、粘土細工でしかありません」
ページの中で少年は恐らく『犬』を完成させるのだが、それは次第に溶けて元の不定形の塊へと戻ってしまう。

「動物であれば骨があり、内臓があり、筋肉があり、皮膚がある。そのすべてを余すことなくイメージできなければ、魂の造形は成り立ちません」
冊子の中では、犬が溶けてしまい悲しむ少年のもとへ、博士の様な服装をした人物が現れ、彼がイメージし形作るとあら不思議、犬は溶けてしまうことなく本物の様な毛並をなびかせ走り回る様子が描かれている。

「しかし例外もあります。この度の幽霊列車を例にとれば、何百、何千の死者達の合作という、いわば数の暴力で引き起こされた奇跡により、曖昧なイメージでも成立しているのです。逆に言えば…」
「一人の圧倒的で緻密なイマジネーションで、覆すことができる可能性がある」
「その通り。列車を構成する魂を一部拝借し、社に作り替える。故にその為には、これまでの積み重ね、トライ&エラーに裏打ちされた、綿密なノウハウがなければなりません。ロマン様を選んだのは、そういう理由です」

「オーケーオーケー、俄然やる気が沸いてきた」
一切の迷いを振り切り、ぱたんと冊子を閉じるロマン。
「何よりです。…ところで、マージンさん、でしたか?お姿が見えないようですけれども」

セイロンはマージンと直接の面識はない。
だが、事前にロマンを通して、作戦に参加するメンバーの顔は一通り写真で受け取っていた。
そして、どう見まわしても、ロマンとフツキの姿しかこの場にはなかった。

「ああ、マージンならもう乗り込んでるぜ。準備万端だ」

バサッと音を立てて、ロマンがベールをはぎ取ると、そこには無残にも改造を施されたテルルの心の友と、かつて何度もマージンの命を救ったこともあるフツキのガジェットの一つ、アンカーロープで厳重に縛られ、猿ぐつわまで噛まされて席に座らせられているマージンの姿があったのだった。

                               続く
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