獅子門が近づいて来たまさにその時。
「誰か!誰か~っ!道行く皆様の中に優秀な発破師の方はみえませんか!?」
街道の脇で何やら作業服に身を包んだ屈強な男達が叫び声をあげている。
「こういう時に限って!普通そんなニーズある!?」しかしそこに困っている人あらば、助けずにはいられないのが冒険者の性分であり、さらには発破と聞けば黙ってはいられない。
颯爽とドルレーサーを飛び降りるマージン。
「この爆弾工作員(ボムスペシャリスト)に任せたまえ」
「おお!先生、さぁさぁこちらです!どうか仲間を救ってくだせぇ!」
獅子門とほど近い採石現場。
岩窟の入口が崩れ、生き埋めになってしまった人々をお手製の指向性ギガボンバーで助け出し、治療の為に駆け付けた僧侶のパーティに引き継いだ頃には、既に陽光も傾きかけていた。
「あの…、クイニーアマン、ありますか?」
疲労と土汚れで散々な風体を晒しながら、獅子門内、大地の箱舟の移動販売の如くパンのカゴを腹前に吊り下げたロゥソンの出張販売員に尋ねる。
「兄ちゃん、クイニーアマンが目当てだったのか。すまねぇなあ、ここだとガテン系のお客さんばっかりでな。甘いパンは仕入れて無いんだわ」
「ブルシット!!?」
衝撃の事実に灰と化して崩れ落ちるマージン。
「でももしかしたらだけどよ、ランガーオ村の本店なら、工房直結だから残ってるかもしれないぞ」
「ランガーオ村のロゥソン本店!よっしゃ!!」
耳寄りな情報に不死鳥の如く灰の状態から蘇ったマージンは、ロゥソン獅子門出張所オススメのカツサンドを握り締め、ランガーオ村へと急ぐのだった。
続く