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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2021-10-18 09:48:49.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『虎酒家繁盛記』その4 ~ごましおからの手紙~

「ふぁあああっ…」
浅葱色の髪を持つウェディの青年は大きな欠伸を一つ吐き出し、未だ霞む視界をハッキリさせるべくエメラルドに輝く瞳をこすった。

「昨日の店は当たりだったな」
少し品が無いことは反省しつつも、欠伸とともに胃袋から立ち昇った芳醇なドライトマトと魚介類の香りから、昨日の夕食の記憶を反芻する。

キュララナ海岸で漁師をしていた経歴を持つ店主が、ジュレットに開いた料理店。
経験に裏打ちされた目利きによる新鮮な食材を活かしたペスカトーレは大変に美味で、店主に勧められるままついつい慣れない白ワインまであけてしまった。

案の定、グラス一杯もいかずにしこたま酔っ払い、そこから記憶が定かではないが、何とかヤサにしているチームアジトまでは辿り着いていたらしい。

自分の帰巣本能を褒め称えながらふと、チームアジトのテーブルに目を向けると一通の便箋が目に止まった。

どこか見覚えのある丸っこい字で『ミサークくんへ』と書かれたそれを手に取る。

「珍しいな、俺宛じゃん」
字は体をあらわす。
何となく差出人の見当を付けながら、丁寧に封を切った。

『しんあいなるミサークくんへ』

イメージにそぐわない丁寧な書き出しは、ともに旅立ったハクト君の入れ知恵によるものだろう。

『ハクトくんがきんちょー報告とかいうのを書いたらしいので、オレも真似してみました』

「近況な。緊張を報告してどうする」
突っ込み相手がこの場に不在なのを残念に思いつつ、ミサークは手紙を読み進めていく。

『そろそろオレがいなくて、さみしくなってると思いますが、どっこいオレは元気です。
ハクトくんと一緒に朝から晩まで、トラを目指してレストランで修行の毎日です』

「…ん?トラ?なぜに?…てか、レストラン???」
一角うさぎの角を取りに行くと聞いていたのだが、何がどうしてそうなったのだろうか?
考えても詮無きこととは思いつつも、ミサークは混乱に包まれる。

『最近は滝で水浴びをしたり、近所のおじいちゃんたちと一緒に太極拳をしたりといった他に、ミサークくん達に作ってもらったレタシックスーツを着ての修行も始めました。
師匠のライティアさんによると、レタシックスーツのまじゅつ回路?は、体内の気の流れとぴったり同じらしくて、褒められました。
オレってスゴくね!?』

「何でじゃっ!魔術回路作ったの俺!凄いのは俺!!」
読み進めるにつれ、ミサークのツッコミも冴えわたる。

ごましおのおねだりと、チームメンバーからの強迫にも近いお願いにより、共同製作することとなった、ごましおお気に入りのレタシックスーツ。
誕生の経緯は成り行きではあったが、それがごましおにちゃんと愛用され、また、見ず知らずの冒険者から褒められたという事実に頬が緩む。

『最後に、本当は誰にも教えたくはないのだけれど…。
親友のミサークくんに、ライティアさんから教わった必殺技を、特別に伝授しんぜようと思います』

「ほほう…?」
太極拳、体内の気の流れ、手紙の内容を通しての端的な情報だけであるが、ごましおの師匠は恐らく名うての武闘家であろう。
その必殺技というのは、ミサークにとっても大いに興味がある。

『これは目ざとい敵の隙をつき、大きな成果を得る、とてもすごい技です』

「おお、もったいぶるねぇ」
ごましおの煽り文句が、嫌でも期待を膨らませる。

『―餃子のつまみ食いは、1個ではなく皿単位で―』

「はっ…!?」
ミサークは唐突に飛び出した餃子というフレーズに我が目を疑うが、何度見返しても文章は変わらない。

『す・ご・く・ね!?
お皿に乗った餃子を一個つまみ食いすると、ハクトくんに数が減ってばれてしまうけど、一皿分食べてお皿を隠してしまえば、ぜんぜん気付かれないんだよ!?』

「ははっ、相変わらずだなぁ」
やや拍子抜けはしたものの、ごましおが楽しくやっている様子が目に浮かぶようで、ミサークは心からの笑みを浮かべた。

『それでは、オレ、この虎酒家で、一回り大きくなってから帰ります。
また会う日まで』

「虎酒家って、あの虎酒家か!?いいとこで働いてんなぁ…」
足を運んだことはないが、餃子と豪気な女主人が名物のレストランの名前は、ミサークにも耳馴染みがあった。

「まあせいぜい、喰いすぎで大きくならないように、気を付けろよ、ごま」 
風に乗って届けとばかりに、チームアジトの天窓越しに見上げた青空に向けてミサークは呟く。

「さぁて、ごまからの手紙読んだら腹減ったな…。ちょっくら出かけるか」
近くに餃子の美味しいお店はあっただろうか?

親友からの手紙を大切に懐へしまいこむと、記憶を探りつつ、胃袋の求めるまま街へと繰り出すミサークであった。
                                続く
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