木立の間を縫って、2台のドルボードが森の中を疾走している。
一台は超駆動戦隊ドルブレイブメンバー、アオックブレイブの駆る、地を往くドルトラベラー、もう一台は同じくダイダイックブレイブの駆る、空を舞うドルダイバー。
前方、後方、左右、斜め。
ありとあらゆる方向から、二人を目掛けグレネーどりが襲いかかる。
ブーメランやフォトンサーベルで牽制し、それでも近付かれた場合は曲乗りが如く体勢を歪め、その拳で脚で弾き飛ばす。
当然ながら二人の周りでは、散発的にグレネーどりが爆発する際の光球が生まれ、都度、鬱蒼と生い茂る植物に薄暗く閉ざされた森の中を明るく照らし、その光により、グレネーどりの群れからやや遅れて二人を追うキラーマシンの群れの存在をつまびらかにしている。
そしてその更に後方から、木々を薙ぎ倒しながら迫る黒き巨影。
「アオック!あと少しだ!踏ん張れ!!」
「はい!!!」
ダイダイックの言葉が指し示した通り。
永遠にも感じる数十秒の鍔迫り合いののち、二人は森から飛び出した。
正面の小高い丘に構えるは、我らがリーダー、アカックブレイブを中心に、波止場に佇むが如く岩に片膝を乗せるステレオタイプのヒーロー然とした姿のブレイブ2号と、腕を組み悠然と構えるはその名の通り漆黒の魔装に身を包んだクロックブレイブの3人。
「行くぞっ!!」
「「応!!」」
アカックブレイブの激に応え、アカックブレイブが構えた両手のハンマーの盤面へそれぞれ飛び乗る二人。
「ふんッ!!!」
アカックブレイブの雄叫びと共に、振り上げられたハンマーから空高くブレイブ2号とクロックブレイブが舞い上がる。
「こちらも仕上げですね!!」
「抜かるなよアオック!」
「了解です!!フォトンサーベル、リミッター解除!マキシマム・ブレイブソード!!」
限界を超えたエネルギー放出にバチバチと火花を散らし暴れるグリップを力で捩じ伏せ、蒼き大木の如く巨大なフォトンサーベルを構えたアオックブレイブがドルトラベラーをドリフトさせ、前列のキラーマシンの群れを横一文字に両断する。
それに合わせ、ドルダイバーを2分割し、巨腕として左右に纏ったダイダイックブレイブが巨大に顕現したブーメランを投げ放ち、飛来するグレネーどりの群れを薙ぎ払う。
その天を衝く爆炎を突き破り、見慣れぬ色、漆黒のスーパーキラーマシンの巨体が姿を見せた。
「2号!行くぞ」
「任せろ…」
宙を舞うクロックブレイブとチェーンで繋がるホイールに、がしっと腕をかけるブレイブ2号。
「おおおおおおッ!!」
クロックブレイブは足場の無い空中でありながら、竜巻を起こす勢いでチェーンを操り、猛烈な勢いで掴まったブレイブ2号ごとホイールを高速回転させた。
「ブレイブ…遠心キック…」
そっと添えるように淡々と技名を呟き、タイミングを見計らって、クロックブレイブのつけた勢いをそのままに、流星の如くブレイブ2号は飛び出した。
如何に膂力、加速度、それらを増しに増したキックであろうとも、スーパーキラーマシンの堅牢な外部装甲を破る事はかなわない。
しかし…
漆黒のスーパーキラーマシンは、周りに自身が生産、放出した雑兵が全て撃破されたことを検知し、その頭頂部のハッチを観音開きに開け放った。
「愚か…」
その刹那、さながら銀の矢と化した、目にも留まらぬ速度のブレイブ2号が、ハッチから歩み出ようとしていたキラーマシンごと、巨影の頭部から胴体にかけてを内側から斜めに貫いた。
先の、アオックブレイブとダイダイックブレイブが雑兵を片付けた時を更に上回る爆発を背に、事も無げに着地するブレイブ2号であった。
続く