「いい加減うっとおしぃねぇ」
ギガントナイトメーアはハクギンブレイブを踏み潰すのを諦め、雑作も無く蹴飛ばした。
「…!!」
ハクギンブレイブは咄嗟に腕をクロスし地に踏ん張ったものの、笑い話のような体型差、耐え切れるものではない。
敢え無く吹っ飛び、途中受け止めたレオナルドも巻き込んで、更には、目の前で己のイコンが弾け飛んだショックで未だ項垂れるマージンもまとめて彼方へと転がって行く。
「やるなら今しかねぇ!」
マージンの邪魔が入らない今、逆にこれを好機と捉えたロマン。
じわりじわりと歩み寄るギガントナイトメーアのプレッシャーを物ともせず、今度こそドルセリオンブロスを現実と違わぬサイズで顕現させる。
女王の命を待つ忠実な騎士の如く、瞳を閉ざし、跪いて佇むドルセリオンブロス。
操縦するのは勿論…。
「コレ絶対私のよね!?」
すっかり作画の違う、星の輝きが満ちた目で、元気なチビッ子宜しくピンと挙手したのはマユミであった。
またしても器用な話で、いつの日か、かいりがドルセリオンになった時の為、レンドアで見かけた潜水艦ガテリア号の乗組員に支給される潜水スーツをベースに妄想していたパイロットスーツを身に纏って、準備万端とばかりに鼻を鳴らすマユミ。
しかしロマンはくるりとマユミに背を向けて叫ぶ。
「任せたぞ、ハクギンブレイブ!」
本人にとってはまさかの肩透かしに、盛大につんのめるマユミであった。
「右の肩に飛び乗れ。ちょうどモミアゲのあたりにグリップがある。それを掴んで念じれば、ドルセリオンは君の思い通りに動く!」
諦めきれず眼前で挙手を続けるマユミを無視して、ハクギンブレイブに説明するロマン。
ロマンの指示を受け、肩に飛び乗り、目の前のグリップを見つめる。
緊張から、すぐ近くのグリップが、ハクギンブレイブには果てしなく遠く感じた。
「これが…セ~クスィ~さん達の、大いなる力…」
果たして自分如きが手にして良いものか。
そして、上手く扱えるだろうか。
しかしゆっくりと逡巡する時間はない。
もはや手の届く位置にギガントナイトメーアは迫りつつある。
「見守っていてください、アカックブレイブ!僕は、やってみせます!!」
今やあまりにも遠く隔たれた先輩に想いを馳せ、ハクギンブレイブはガッシリとグリップを握った。
力強いハクギンブレイブの言葉を受けて、ドルセリオンブロスはその瞳に金色の光を宿す。
無機質なドルボードの体に、血液代わりのドルセリンが循環し、鋼の心臓が脈を打ち始めるのだった。
続く