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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: 魔剣士
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2021-12-20 00:34:46.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『幻列車の浪漫』その43

やがて最後尾、もはや懐かしくすら感じる魔改造スワンボートのもとへと帰ってきたロマンたち。
スワンボートに向き、乗客たちに背を向ける形で立つロマンに、アジロが叫んだ。

「ロマン兄ちゃん!オイラ、わかったよ!大工って、オイラまだ上手く言葉に出来ないけど、『みんなの居場所を守るお仕事』なんだよね!?」
アジロの見出した大工の本懐。
奇しくもそれは、若き日のロマンが、師匠に聞かせた、己のなりたい大工像そのものだった。

「…おう、わかってきたじゃねぇか坊主」
「オイラ、もし生まれ変われたら、絶対大工になる!」
「やめとけやめとけ。修行は厳しいし、稼ぎも渋い、ろくなもんじゃねぇぞ?」
「もう決めたもんね!…そん時は、オイラの師匠になっておくれよ!!」
「や~なこった、面倒くせぇ」
ロマンはそう嘯き、照れ隠しに鼻をこすりながらも、満更では無い笑顔を浮かべる。

「…それまで、元気でいてよね」
「ああ。まあ、せいぜい期待せず、待っててやるよ」
ロマンはアジロに向き直り、涙と鼻水でグズグズの顔を隠そうともせず、アジロの頭にポンと手を載せると、頭髪を巻き込んでクシャッと強く撫でた。

その隣で、テルルは瞳を閉じてイメージし、ギュッと握った掌からとりだした耳飾りをソワレに手渡した。
「あなたが、望む来世に、羽ばたけますように」
空を舞う小鳥をイメージした、純白の耳飾り。
「ありがとう、テルルお姉ちゃん」
お互いに、涙を流しながら強く抱き締め合うテルルとソワレ。
「あの世にも、そして、生まれ変わったあなたにも届くように、私、ずっと、ず~っと、歌い続けるからね…」
「うん!私も、忘れない!テルルお姉ちゃんの歌も、お姉ちゃんの歌が大好きだって気持ちも、生まれ変わっても絶対無くさない!!」
「うん、約束。でも、忘れてたって、絶対また、私のファンにしてみせるんだから…」
「うん!」
温かい涙は、止め処なく二人の頬を伝うのだった。

「…そろそろお別れですね」
窓の外が白み始めているのは、夜明けが近いだけでなく、正常な運行に戻った列車が、終点に近付いている事を意味していた。
「ああ、その、なんだ、オレ達も抱き合っとく?」
「何でそうなるんですか!?」
ちょっと呆れつつも、ハクギンにも、マージンにも、笑みが浮かぶ。

「…一つ、お願いが。僕にも、心残りがあるんです」
「おう、オレにできる事なら何でも言ってくれ」
「僕の代わりにハクト君と、もっとキャッチボールしてあげてください」
「えっ…?…君は…」
ハクギンの口から息子の名が出た事に驚くマージン。

「あ、でも、不意打ちでボールをギガボンバーとすり替えるのは、無しですよ?」
「いやそんな事したことねぇし!!」
恐らくはハクトから何か聞かされたのだろうが、一体、ハクトは父を何だと思っているのか。
鼻息荒く憤慨するマージンだが、すぐに表情は和らぐ。
(そうか…知らない間に、あいつも色々、冒険してるんだな…)

「仕事の合間をぬってだけど、出来るだけ、時間作るわ」
「ありがとうございます」
「それだけで良いのか?何か他には?」
「…ん~…そうですね…伝言を…いや、やっぱり大丈夫です」
「ホントに?」
「はい!」

僕の事は気にしないで下さい。
烏滸がましくも、セ~クスィ~とティードの二人はきっと気に病んでくれているであろうと思ったが、そんな言葉を人伝に紡いだ所で、多分きっと化けてでも直接言いにこいと怒られてしまうだろう。
セ~クスィ~とティードが並び立ち、腕を組んで鬼の形相を浮かべている姿が浮かんで、ハクギンは慌てて取り消した。

「マージン!置いていっちまうぞ!!」
「ちょっ!?待って待って!!」
ロマンの何とも酷い呼びかけに慌てて振り向くと、もう既にマユミを含め全員がスワンボートに乗り込んでいた。

「じゃあ皆さん、お元気で」
列車にめり込んだスワンボートを、ハクギンとアジロ、ソワレの三人が押し出す。

「「「ありがとうございました!!!」」」
虚空へと放り出されるスワンボートに向けて、乗客達はいつまでもいつまでも手を振りながら、感謝の言葉を投げかけるのだった。

しかし、ロマン一行には、ほろ苦い別れの余韻を味わう暇はない。
「…ねぇ、これ…落ちてない?」
びゅうびゅうと耳元に吹く風の勢いに、テルルがふと気付く。
「そうとも言うかもしれない」
スワンボートはお尻を地面へと向けたまま、明らかに加速を続けている。
「「「「うそおおおおおおお…!!!!」」」」
縁起でもないが、思いの外、ハクギン達との再会も近いかも知れない。
そんな事を考えてしまった4人であった。
                                続く
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