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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2022-03-03 07:53:43.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作「逃亡者マージン」その24

「…何か互いに、憑き物が取れたみたいだよなぁ」
酒場の客はグラスのスコッチを煽りながら独り言ちる。
 
酒場において、ジュエとキャトルの様子は相変わらずである。
喧嘩はするし、口汚く罵り合うし、こないだだって報酬のゴールドが詰まった袋が破れて酒場にぶちまけた時、群がった酔っぱらい達をばくだんいわで吹き飛ばした(当然、ゴールドも吹き飛んだ)。
 
たがしかし、お互いに何かこう、見てる側がポカポカしてくる雰囲気を放っている気がする。
結果、酒場に集う荒くれ達は、二人の様子を見ていると何だか心がムズムズしてしまうのだった。
「マスター、何か知ってる?」
不意に話を振られ、ふとマスターは数日前のジュエとのやり取りを思い出す。
 
その日、マスターの記憶にある限りでは初めてジュエはカウンター席に腰掛け、注文代わりに尋ねてきた。「男が貰って喜ぶモンって何だ?」
「ああん?…何か変な薬草に手出してんじゃねぇだろうなお前」
「バカ!そんなんじゃない!真面目に聞いてんだよ!」
何時になくジュエは真剣な様子である。
 
「…そうだなぁ。今更かもしれねぇが、この辺は砂混じりの強い風が吹く。だってのに、あいつずっと首剥き出しだからなぁ。薄手のマフラー何か良いんじゃねぇか?」
「マフラーね。そうか、わかった」
他に誰が?と考えれば当たり前ではあったが、マスターは無意識のうちに受け取る相手はキャトルだろうと想定していた。
互いに名前を出さないやり取りだったが、腑に落ちた様子で酒場を後にするジュエの背中を、マスターはそっと見送ったのだった。
 
「…マスター?」
客は、皿を拭く手も止め何処か遠くを見るマスターを訝しむ。
「さぁな?俺は知らん。…ところでお前さん、貯まったツケをそろそろ払ってもらおうか?」
「おっとヤブヘビ…」
「今日という今日は、はらわた抉り取ってでも払ってもらうぜぇ?」
逃げ出そうとする穀潰しの首根っこを短い腕で引っ掴み、マスターもまた、あの二人は面白いことになったと、口もとを緩めるのだった。
 
「行ったぞ、キャトル!乗れ!!」
今日の獲物は、村に近付いていたひくいどりの群れ。数体を仕留めた所で、残りのひくいどり達は想定通りかたまって高度をとり、狩人達から逃れようとした。 
キャトルはジュエの合図に、スケッチブックから顕現されたガメゴンロードの背に跳び乗る。
キャトルを乗せたまま、足を仕舞い、代わりに火を噴き出して宙に舞うガメゴンロードだが、その高さは到底、ひくいどり達には届かない。
 
「そぉら、カッ飛びな!」
立て続けにジュエがスケッチブックから破り取ったのは、お馴染み、ばくだんいわのページだ。
ガメゴンロードの直下で起こったメガンテの爆風が、ガメゴンロードごとキャトルを空高く押し上げる。
 
キャトルの手に握られた、いつもの二振りのククリナイフの柄は、見慣れぬ太いチェーンで繋がれていた。ナイフという武器の性質上致し方ない、短いリーチという欠点を補う為の付焼刃であったが、それによってもたらされる戦果は絶大だった。
 
ひくいどりの群れのど真ん中に到達したキャトルは、チェーンの真ん中を握り、竜巻のごとく斬撃を撒き散らす。
逃げる間もなく、ひくいどり達は細切れになって空に散った。
 
どちらが言い出したわけでもない。
じごくのきしの一件を経て、二人は自然に協力して依頼をこなすようになっていた。
 
ガメゴンロードは既に消失している。
重力に任せて落下するキャトルを、大地に落着する寸前で、ガートラントで流行りの、『オーガを駄目にするクッション』よろしく青い巨体、ドラポヨロンが受け止めた。
 
「俺が8体、お前が4体か」
「2、1で折半だな。割り切れん分は、画材代であたしがもらうぞ。さあ、とっとと嘴を回収して帰ろう」ドラポヨロンも紙切れに戻り、二人は散乱するひくいどりの燃えカスの中から、討伐の証になる部位を探す。
 
今や報酬で揉めることもない。
お互いの合意のうえ、歩合で山分けとなっている。
 
「…へぇ?随分と、仲のよろしいことじゃないか?お節介をした甲斐があったかな?」
そんな二人の様子を、高い崖の上から、獣の瞳をした女が楽しそうに眺めているのだった。
                     続く
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