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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2022-05-17 08:34:21.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作「逃亡者マージン」その50

「「「「でっ………か!!!!」」」」
いざ、模造品の竜の完全な姿を前にして、あんぐりと口を開ける4人。
敵はマホカトールによる障壁のギリギリ、遠く湖上に佇んでいるにも関わらず、カルサドラ火山から見上げる魔神兵像を遥かに上回る威圧感。

腕と言わず身体と言わず、夥しい角に覆われ、しかしその立派な体躯とは裏腹に、広げられた羽根は擦り切れた旅のマントのように無数の穴が空き、漆黒の体色に加えて不気味さを存分に醸し出している。

「う~む…流石にあそこまでは私のハンマーも届かん…」
アカックブレイブはまっすぐにハンマーを模造品の竜にめがけ突き出し、冷静に距離を測る。
「よしマージン、ナイフを構えて大砲に入れ」
「いや馬鹿かフツキ、フツキ馬鹿か」
御無体さのあまり、ツッコミも反復した。

「しかしどうする?あのまま火炎でも吐かれたら、ただ蹂躙されるだけだぞ」
「まあまあ。ここは俺のマイタウンだぜ?考えてあるって。…オッサン、アンプルをこいつらにもたせてくれ」
「うおっ、ちょっと気色悪いな…」
マージンがコイツら、と称したは、砲台制御も兼ねたマイタウンの防衛マシン軍団。
灰色のボディを二本の逆関節を持つ脚部で支えた簡素な造りのマシンが、いつの間にやら行列をなしている。

「どうだいオッサン。俺の発明もなかなかのもんだろう」
マージンに言われた通り、フィズルが次々とアンプルをその背の格納ラックに放り込むと、受け取った個体から順次、自身が連動する大砲へと駆けていく。

あっという間にアンプルは底をついたが、何とか全ての大砲に行き届いた。

「なるほど。よく考えたな」
「ああ、さっき、ハンマーに塗るってので、思いついたのさ」
貫通弾、拡散弾、焼夷弾。
防衛マシン達はマージンの即興のプログラミングに基き、セットするありとあらゆる砲弾にアンプルの薬液を馴染ませていく。
「さしずめ、血清弾頭って所か」
誰に聞こえるともなく呟くフィズル。

「それじゃ試しに一発行ってみよう!」
何とも軽いノリでマージンが拳を突き上げると、中央のひときわ大きな大砲が火を吹いた。

固唾を飲んで放物線の行方を目で追う4人。
「おっ!効いてる?効いてるんじゃないか!?」
着弾と同時に模造品の竜がよろめき、体液とも表皮とも判別がつかないが黒い液体が飛び散った。
「よ~し、それじゃ、あいつがこっちに飛んでくるまで、ありったけ撃ってみようか!」
マージンの掛け声に呼応し、今度はマイタウン中の大砲が一斉に火を吹くのであった。

「ううむ…どうにも、むず痒いな」
しかし当の模造品の竜にとっては羽虫にまとわりつかれているくらいの扱いであることを、マージン達は知る由もない。
「ふぅ…。しかし外へ出るためには、わざわざ相手をしてやらねばならぬか。…して、塗り潰すにはこの程度で充分か?」
砲弾に飛び散り水面へ落下する身体の一部をあえて呼び戻さず、それらに新たな形を成させる。

やがてマージンタウンの湖、その水底で整列した死霊の軍隊は規律正しく進軍を開始した。

「…空気が変わったな。私は工房近辺の砲台群の防衛にまわる。他は任せたぞ」
敵の接近を直感だけで誰よりも早く察知したのはアカックブレイブだった。

「ちょ、敵っておい…!」
マージンが止める間もなく走り出したアカックブレイブ。
その先の浜辺に、まさに工房の建つ1番地へ向け上陸を始める死霊系モンスターの一群が見えた。
同様に3番地目掛けて上陸する一群も見て取れる。

「こりゃまずい!フッキー、3番地の方、頼めるか!?」
「やるしかないだろ。任せておけ」
走り出すフツキを見送るマージンの背に、アカックブレイブの高らかな雄叫びが響く。

「いいかお前達!私は今、とても、とっても、と~~~っても、機嫌が、悪い!!!」
2番地のゲストハウスで伏せるティードにハクト、フライナの傷付き憔悴した様子が頭から離れない。
それを振り払おうとせず、むしろ心に強く刻みつけるように思い抱き、2番地と1番地を結ぶ橋梁から魔装の力をフルに引き出して敵の一群めがけて高く高く跳び上がる。

「何よりも、無傷で助けられなかった自分に!腹が立つ!!」
最高度で振りかぶったハンマーを、落下の勢いを余すことなくモンスターの群れの中央に振り降ろすのだった。
                      続く
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