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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2022-06-11 08:02:46.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作「超駆動戦隊ドルブレイブ劇場版 黄金の意志」その22

「…よし」
ベッドには枕を並べて人型をつくり布団を被せて存在を偽装し、予備の枕カバーを泥棒被りして目立つ赤髪を隠すという、今日日、アカデミー初等部の子供でもやらない手法で基地の出口を忍び足で潜り抜けたセ~クスィ~。
おきょう謹製のタンブラードラム型遠心汚れ分離機により洗浄の行き届いた枕カバーが、黒や唐草紋様ではなく、有り得ない白さを誇っていることを除けば、完全に古典的な泥棒スタイルである。

「よし、じゃない!この不審者ブレイブ!!」
「うわっ!?」
何故バレないと思ったのか?
山をくり抜いて作られた秘密基地、扉の上の丘に腰掛けて、訪れるであろうセ~クスィ~を待っていたおきょうは怒りと呆れを込めて声を上げる。

「ちょっ、ちょちょっとっと外の空気を…ね…?」
おきょうを見上げて、面白いぐらいに噛み噛みで嘘を述べる額に浮かぶ汗は、驚きと焦りからくるものだけではなく、未だセ~クスィ~の体調が余談を許さないものであることを物語っている。

「ほら、じっとして」
降り立ったおきょうは何の意味もない頭巾を剥ぎ取り、セ~クスィ~をしゃんと立たせると、ややふらつくその腰に修繕したベルトを巻きつけていく。

初めて出逢った時からそうだ。
この人は、こんなに真っ直ぐで、嘘が苦手で大嫌いで。
ただ純粋に、人を助けたいという彼女に、どれだけの嘘と負担を強いてしまっていることだろう。

うっかりすると泣いてしまいそうで、おきょうは口早に伝えるべきことを捲し立てる。
「正直に言います。ベルトに異常は無かったわ。展開ができないのは、貴女の心の問題」
「…やはり、そうか」
「でも何も手を打たないようじゃ、ドルブレイブのブレインの名が廃るわ。…どう?」
「これは…」
ちょうどベルトを巻き終えたところ、セ~クスィ~は如実な変化を感じた。

「展開後の出力低下と引き換えに、待機状態におけるバックアップ機能を強化したの。ほんの少しは体調が楽になったんじゃないかしら?」
「ああ!もうバッチリだ!!」
「調子に乗ってると大型モンスター用の麻酔薬打ち込むわよ」
今にも走り出しそうなセ~クスィ~を、彼女の唯一恐れる年に一度のメラゾ熱ワクチン接種でお馴染みの注射器をちらつかせて牽制する。
「…肝に命じます」
「わかればよろしい」
注射器は構えたままに、おきょうはニッコリと微笑んだ。

本心で言えば、今すぐこれを打ち込んでしまいたいのだ。
二人を照らすは月明かり、今の時刻は夜中の2時。
夜が明ければ、ケルビンの予告した13日、アズランから特別列車が走り出す。
運悪く他のドルブレイブメンバーは各地に散っていて、エルトナ大陸にはセ~クスィ~しかいない。
そんな時に寝ていろと言われて、立ち上がるのがやっとでも大人しく従う彼女ではないと分かっている。
それくらいには長い付き合いだ。

「おきょう、魔装展開できない以上、ドルセリンは…」
おきょうは注射器を躊躇いつつも仕舞い込み、代わりにセ~クスィ~のベルトのマウントに過剰なほどにドルセリン管をセットしていく。
体調が万全でない中、小さなドルセリン管といえども、デッドウェイトは避けたい。

「ケルビンも馬鹿じゃないわ。妨害電波の対策は済ませてくるはず。ゴルドブレイブを相手するには、魔装がなければお話にならないでしょ?」
「しかし…」
「出来るわ。貴女は必ず、己の勇気を取り戻せる。私は、信じている。…忘れちゃった?私も、貴女の勇気に救われた一人なのよ?」
「………ありがとう」
アラモンド鉱山で見た、優しく大きなその背中を、おきょうは一生忘れることはないだろう。

「貴女の私用のドルブレイドはまだ修理出来ていないから、アズランまではドルストライカーを使って。回収は任せておきなさい」
「助かる。では」
「必ず、帰ってきて!アカックブレイブ!!」
「ああ!勿論だ」
控えめな速度でアズランへ向かうセ~クスィ~とドルストライカーを見送って、スパナを握った腕をぶんぶんと回すおきょう。

「徹夜も辛い歳になってきたけど…。アカックブレイブの援護のためにも頑張らないとね」
おきょうは基地へ引き返すと眠気覚ましの濃いブラックコーヒーを一気に煽り、マシンオイルの香りに満ちた格納庫へと足を向けるのだった。
                      続く
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