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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: 魔剣士
レベル
: 131

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写真コンテスト

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レオナルドの冒険日誌

2022-06-12 07:57:17.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作「超駆動戦隊ドルブレイブ劇場版 黄金の意志」その23

「あてんそん、ぷりぃ~ず!」
微笑ましい滑舌で、一日車掌ごましおによる開会の挨拶はスタートした。
勿論、大勢の前に出ることに対して免疫などなかったが、チームメンバーとの再三に渡る予行演習に加え、ミサークによる完璧な原稿とフリップボードによるカンペ掲示により、目線は怪しかったが無事最後までやり遂げる。

その後もミサークと並んでのテープカット、機関車両前での写真撮影、乗船するゲストや当選者の切符にハサミを入れるなど、目まぐるしく業務をこなし、ゆっくりと走り出した大地の箱舟船内、ごましおとミサークにあてがわれた専用シートでようやく一息をついた。

「ほいよ、ごま。売店でバニラアイス買ってきたぞ~」
ややぐったりとしていたごましおだったが、ミサークの手に握られた小ぶりなカップに心躍らせる。

「わぁい!!」
激務の疲れもひとっ飛び…と思いきや。
「えっ…!?何これ…堅っ!」
蓋を開け、純白の荒野に木製スプーンを差し込もうとして驚愕するごましお。
スプーンは刺さるどころか、アイスの表面には傷一つつかず、純白の平野が広がる。

「これが噂に聞くハコブネカタイアイス…油断したぜ…」
隣のミサークに至っては、無理に押し込もうとした結果、スプーンが見事に真っ二つになっている。
僅かに突き立てることに成功してしまった前半分の残骸が垂直にアイスから生え出る光景は、さながら卒塔婆を思わせる。

ゆったり半日をかけてアストルティアを一周し、さらには夜中にもう一周。
まる24時間の行程の間、アイスを溶けずに保つため、魔法建築工房『OZ』謹製の呪文カートリッジ式保冷ボックスにはマヒャデドスが込められており、通常の大地の箱舟の船内販売アイスよりも輪をかけてカッチカチに仕上がっていた。

「しょうがない、少し置いとけば柔らかくなるさ」
「嫌!一分一秒でも早く食べたい!ちょっと外出てくる!!」
「あっ、お~いちょっと!」
ミサークが止める間もなく、ごましおはパタパタと駆け出していくのであった。

乗客達に挨拶しながら最後尾の扉をくぐれば、外の景色を楽しめるよう作られたテラス状の空間が現れる。
まさにそのテラスでは、エルトナ大陸の尾根を抜けるトンネルをくぐる際、やむを得ず屋根から降りた28号が、脱いだヘルメットを背中に担いで風に吹かれていた。

「………きれ~」
風にたなびく銀髪にみとれてふと漏らした声で、ようやくごましおの存在に28号は気がついた。

「うわっ!いつからそこに!?」
慌てて顔面を覆う28号だが、時既に遅しである。
「…楽しめてますか~?」
「何がだ!?」
「お姉さんも、乗客の方でしょう?切符切るときには見かけなかった気がするけど…あ、それか、劇団の人!?どうりでハクギンブレイブと似たような格好してるわけだ。演目の恰好なの?大丈夫、内緒にしておくね」
そのまま、うわ~、カッコいいなぁなどと小声でもらしながら、ごましおは28号の全身をまじまじと羨望の眼差しで見つめる。

ふと、なかなか兄上に声をかけられず、夢幻の森のモンスター素材を売り捌いたお金で通い続けたドルブレイブショーのおり、自分もこんな眼差しをしていたのだろうかと考える。

「お姉さん、もしかして乗り物酔い?」
黙り込む28号にごましおはさらなる勘違いを膨らませる。
「えっ…ああ、いや、うん?まあそんな感じで適当に…?」
28号は、もはやバッチリ顔も見られてしまった以上、有耶無耶にできるなら何でもいいと受け流した。

「俺のことより、そっちはどうしたんだ?」
他の潜伏先を見つけるよりも、闖入者の用件を済まし、追い出す方が得策だと考えた28号。

「アイスが堅くて」
「あい…す…?」
「うん、アイス」
28号はごましおがそっと差し出したアイスクリームカップをまじまじと眺め回す。

「この香りは…くりぃむここあに似ている…」
咄嗟にクリームココアの甘い味と共に、苦々しい記憶が蘇り胸が痛んだ。
「あ、『米田』のだよね!オレもすっき!」

余計な事は考えるな。
今はコイツを立ち去らせる事に集中せねば。

「…ちょっと貸してみろ」
気を持ち直し、記憶のクリームココアが室内の温度で溶けていたことを思い出す。
で、あれば。

「え、あ、うん」
アイスを受け取ると、掌に熱エネルギーを集めてカップを温める28号であった。
                      続く
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