『はいはい、そろそろお呼びがかかると思っていましたよ。…ダイダイックのぼやきが少しだけ分かった気がするわ。ほんと、人使いが荒いんだから』
「ふふ。自分もドルブレイブの一員だと啖呵まできったんだ。その分頼りにさせてもらうとも」
『まあ、任せておきなさい』
応急処置を済ませたスカイドルセリオンは、ジャイロの出力が低下した分、脚部にあたるドルボードを投棄し、大地の箱舟に追いついて来ていた。
セ~クスィ~は耳に伝わるジャイロの駆動音、そして何よりもおきょうに対する信頼から、必ず追いついてくると踏んでいた。
『はぁい、乗客の皆様、ちょっと揺れます~!ごめんなさいねぇ』
乗客に向けて外部拡声でアナウンス、然る後、赤熱化したスカイドルセリオンの左腕が箱舟の横っ腹を突き破る。
「…!相変わらず君は、エレガントにかける…」
客車内に文字通り割って入った巨腕が、がっしりとゴルドブレイブを掴み、外へと引き摺り出す。
『そんなもの、クソ喰らぇ、よ!…あらやだ私ってば、はしたない』
「むっ…ケラウノスを置いてきたのは失策だったか…出力が足りんな」
振りほどこうとするゴルドブレイブだが、この質量差は如何ともし難い。
『あらあら~、洗練が聞いて呆れるわね~』
しっかりスカイドルセリオンを罵倒されたことを根に持っていたおきょうは、ニッコリ微笑み大きく振りかぶるとゴルドブレイブを遥か彼方目掛けて投擲する。
『限界まで御見舞してあげるわ!』
飛び退るゴルドブレイブをロックオンし、言葉の通り銃身が爆ぜるまでライフルを連射した。
…6発、7発、8発、9発を数えたところで、赤く染まり半ば溶け始めていたライフルが右腕ごと弾け飛ぶ。
果たしてスカイドルセリオンの捨て身の攻撃は全弾命中し、ゴルドブレイブをさらに彼方へと運んでいく。
今度こそ地に沈み、再起の見込みの立たないスカイドルセリオンのコクピットで、おきょうは苦々しい表情で未だ健在にレーダーに浮かぶ光点を睨んだ。
『これでも駄目か…。あとは任せたわよ、アカックブレイブ!』
しかし最大の問題は解決し、時間も稼げたはずだ。
おきょうもまた、セ~クスィ~を信頼し、後を託すのだった。
続く