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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: 魔剣士
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2022-08-27 14:20:07.0 2022-08-27 14:22:04.0テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『超駆動戦隊ドルブレイブ劇場版 黄金の意志』その48

そんな可愛らしいものではないが、竜機械はまるでトカゲのように大地の箱舟の壁に天井に手足を貼り付け、割られた屋根や客席の残骸で荒れた足場に苦戦するフタバに対し有利に立ち回る。

しかし、攻撃手段といえば爪による斬撃や噛み付き、尻尾での薙ぎ払いと、どうしても近接戦闘に偏り、フタバに仕掛けるたびケラウノスで受けていなされ、逆に2、3発、お返しとばかりに斬撃や蹴りを見舞われて、今もまた客車の角に叩きつけられる。

「竜機械のコアの解析が完了した。当該機は人格システムを廃しているもののフタバと同等の学習機能を有している。成長の時間を与えるのは危険。速やかな破壊を推奨」
「…分かっている!」
攻撃を繰り出すたび、敵の動きが洗練されていくのを誰よりもフタバが一番実感している。
やや苛立たしげに答えると、距離を詰めて一閃に突く。

ぬるりとケラウノスに巻き付くようにすんでで回避した竜機械の歪なあぎとがフタバに迫るが、側面からハクギンブレイブが蹴り飛ばし、事なきを得る。

「兄上、助かった」
「破れかぶれは駄目だ。慎重にいこう」
「あ、ああ。そうだな」
心強い仲間ではあるのだが、どうにも調子が狂う。
もちろん、ハクギンブレイブ、兄が本来の性能を取り戻し、充分な戦闘力を有するようになったことはケラウノスから説明を受けている。

それはとても喜ばしいことであるはずなのだが、今もまた、蹴り飛ばした竜機械を追撃し、その鳩尾に爆撃のような正拳を見舞う兄の姿を見ていると、何故だかチクチクと胸が痛む。

もしかすると、今の兄は自分よりも強いかもしれない。
強くなどなくとも、ただそばにいてくれさえすれば良いのだ。
数少ない同族である兄の姿を初めて見たときの、言い様のない安堵感と高揚感は今でもメモリーに焼き付いている。
それは、セ~クスィ~に対する感情と、似ているようで全く違う。

芽生えた感情に名前を付けられないままモヤモヤを抱えるフタバの前で、遂には竜機械が自身の機能を理解し始めた。
駄々をこねるようにバシンと床を叩けば、ケルビンがそうしていたようにブランク体の群れが湧き出る。

「またこいつらか」
先程起き抜けに自分を取り囲んでいた気味の悪い連中。
蹴散らすことは無論造作もないが、竜機械との間に立ち塞がれ、厄介な事この上ない。

その影に隠れ、腰溜めの姿勢で無理矢理上体を起こした竜機械は前脚を突き出し、ガッシリと握り合わせる。
それはさながら竜の頭の如く。

「…!対象に高エネルギー反応!!回避を推奨する」ブランク体の群れの向こうで、竜機械は何やら熱を伴う輝きを放っている。
言われなくともそうしたいのはやまやまだが、背後にはアカックブレイブ達の乗る車両があるのだ。

受け止めるべく両腕を盾代わりに構えるフタバの横で、ハクギンブレイブは今度は自分の意志で、腰のベルトからドルセリン管を取り外すと、バックルのスライムフェイスの口中に勢い良く突き立て、叫んだ。

「超・展・開!!」

ハクギンブレイブの体躯が蒼に染まる。
スーツの形状もかつて世間を騒がせた偽ドルブレイブと酷似した、鋭く風に流れるような形態へ変貌を遂げた。

フタバと同じ竜を模した脚部、荒々しい爪が深々と地を捉え、瓦礫を巻き上げハクギンブレイブは猛烈な勢いで駆け出した。
氷の結晶が折り重なったような短剣型の摩装具を両手に携え、行く手を塞ぐブランク体を文字通り蹴散らしていく。

「凄い…これが兄上の、本当の性能か…」
たくましい後ろ姿に、フタバの機体温度が僅かに上昇する。
「かつて当該機が内包したエルフ種族、個体名ハクギンの魂による影響と思われる。ドルセリンと勇気を原動力としていると推測。原理・構造は全く不明である」
ケラウノスが解説する間にも、ハクギンブレイブは竜機械のもとへと辿り着き、全力で相手の前脚を蹴り上げ、射線をそらすことに成功した。

「何でもいい!やはり兄上は、最高だということだ!!…惚れる価値がある!」
竜機械の前脚部から天に向かい極大な光の柱のごとく放射されるエネルギー、その際の衝撃と轟音でケラウノスは最後にフタバが発した不穏な発言を聞き逃す。
「…今、何と?再度の発言を要請する」
「黙っていないと舌を噛むぞ!!」
「当機に舌部は実装されていない。それよりも発言内容の確認を…」
嫌な予感から縋り付くケラウノスを余所に、フタバは負けていられないとばかりに、ケラウノスを横薙ぎに一閃した。

「…今の問題は後ほど議論するとして戦闘行動に集中する」
諦めたケラウノスはフタバと共にブランク体を処理することに集中するのだった。

やがて大地の箱舟はカミハルムイからレンドアに向けて、海上に出てからの一直線の航路にさしかかる。
一か八か。
運命の瞬間は、今まさにすぐそこまで迫っていた。
  続く
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