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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: 魔剣士
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2022-09-10 20:19:07.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『悪夢王御前試合』その2

強化薬の効果は死すまで不可逆である。
人の姿を捨てようとも、この場でアレスとヒッサァを打倒さんとする敵の決意を前に、二人は馬を降り正々堂々と紅獣に向き合った。

まず動いたのは、ヒッサァが対峙する一体。
先程、拡散してアレスを襲ったものと同等の雷を一本に束ね、光線の如く大きく開いたあぎとから撃ち放つ。

文字通り光の速さで迫る赤き雷光、ヒッサァは冷静にその軌道を見極め、空気が歪む程の熱でうっすら肌を焼かれる至近距離を駆け、紅獣との距離を詰める。

道すがら背負った槍、クアドラピアーを両手に取り、焼き払う事に失敗したため爪で引き裂く攻撃にシフトした紅獣を待ち受ける。
クアドラピアーの柄を棍のように操り、右から左から迫る爪の連撃をいなしては、石突や穂で強烈なブローを叩き込む。

戦端がひらき、アレスもまた雷に焼かれた盾を拾い上げ、巧みに操ってもう一体の紅獣の攻撃をいなす。
ヒッサァに比べれば膂力に乏しい部分は、舞うように絶え間なく剣技を繰り出し、その技の威力でもって補った。
そしてその流麗な動きは次第に紅獣の爪撃の手数を上回って、幾度も紅獣の巨体に傷をつけていく。

観客がいれば満場一致で見惚れるほどのアレスの攻撃は更に速度と鋭さを増していき、紅獣に刻みつける傷も深いものとなっている。
やがて大きく紅獣が怯んだ隙きを逃さず、ダン、と強く地を蹴り跳躍する。

「ガァアァ…!!」
精彩を欠き、破れかぶれに再び放った雷撃は千々に乱れ飛ぶ。
その一本を剣に捉え、ギガスラッシュの如く敵から奪った赤い雷をまとった剣で空中からすれ違いざまにぐるりと一閃。
サン、と澄んだ音が響き、アレスと対峙していた紅獣は声もなく倒れ伏した。

仲間が敗れたのを見てとり、残る紅獣は鉄壁の守りを誇るヒッサァにせめて一矢報いんと、その巨体でぐるりと宙を舞い距離をとって、重力に任せるままに4本の脚で地を踏み締める。

再度長大な雷を放とうとする敵を前に、ヒッサァは大きく息を吸い込んだ。
「むぅん!」
気合の掛け声とともに、ただでさえオーガの中でも長身なヒッサァの全身が更に一回り大きくなって見えるほどに、全身の筋肉がパンプアップする。
その全身全霊の力をもって、上段に振りかぶったクアドラピアーを矢の如く投擲した。

果たして矢どころか雷を上回る速度で放たれた槍は紅獣を貫き、巨体が崩れて地響が起こった。

死を迎えることにより、次第に元の姿に戻りゆく2体の獣。
アレスの前で、歪な腕が宙へと伸びる。
「我が主よ!バズレッド様と同じように、私の魂も肉体も、供物として捧げます!!どうか…どうか貴方様のみもとへ…!」
しかし、伸ばした腕を掴む者はいない。
僅かに痙攣した後、ぱたりと地に落ちる。

「…届くわけがない。お前たちの主は、盟友ユルールとオレ達が滅した」
かつて、苛烈を極めた決戦の果てに、アレスとヒッサァは盟友ユルールとそのパーティのほか、今は別の冒険に赴く二人の仲間とともに、紅衣の悪夢団の宿願であるダークドレアム顕現の野望を打ち砕いたのだ。

「…ふっ、ふふふ…我が主に告げられたはずだ。人々が悪夢を見る限り、何度でも復活すると。既に…充分な種は撒いた…」
今際の際の捨て台詞を聞きながら、ヒッサァは地に深く突き立ったクアドラピアーを引き抜く。
「醒めない悪夢など存在しない。何度でも打ち砕いてやるさ」
ヒッサァが返した時には既に、紅衣の悪夢団の男は事切れていた。

「ヒッサァさんすまない、今しばらく協力を願いたい。種を撒いた、というのがどうにも引っかかる」
リーダーであるバズレッドを失うも、僅かに残った紅衣の悪夢団の暗躍をキャッチしたアレスが、共に立ち向かった間柄であるヒッサァに声をかけて始まった今回のクエスト。

お互いに長丁場になりそうな雰囲気を感じ取り、未だ全容の見えぬ闇夜を睨む。
「気にしないでくれ。私の予定は、いつだって友のために空いている。まずは、コイツが何なのか、突き止めるところからだな」
ヒッサァはアレスに快く応えつつ、幌馬車に積まれていたと思われる装置を拾い上げる。

「しかし、これは一体…ランプのように見えるが」
積荷は暗い紺色の胴に、金色の台座と尖角をもつスライムのような形の機械装置。
大半が幌馬車が横転した衝撃で破損しているが、いくつかはそのままの姿で転がっている。

「オレも初めて見る。しかし、危険なものであることは間違いない。状態の良い一つを残し、あとは破壊してしまおう」
「ああ、異論はない」
装置の中央に刻まれた、見慣れぬ紋様。
それが、かつての戦友であるユルールに縁の深い、エテーネ王国の紋様であることなど知る由もなく、何処からあたるべきか、思案を巡らす二人であった。
                      続く
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