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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: 魔剣士
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2022-10-10 09:40:35.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『悪夢王御前試合』その25

思わぬ援軍の活躍でロマンが窮地を脱する一方、マジェスドレアムと対峙するアレス一行は苦戦をしいられていた。

砕けたガラスの柱から溢れ出た赤い液体はそのまま毒を含んだ霧となり、マジェスドレアムの周囲にまるで意志があるかのように漂っている。
牽制にブラオバウムの放つメラゾーマにドルモーア、ギラグレイドに至るまで、赤い霧に触れた途端に構成する魔力を吸われ、マジェスドレアムのもとへ辿り着く頃には低位呪文に変り果て、造作もなくあしらわれてしまう。

マージンとフツキはサポートに徹し、僅かに残るなけなしの火薬を調合し何とか作り出したネバネバ爆弾や、ピオリム等の補助呪文を飛ばす。
三人は効果が薄いと理解しつつも、前線を支えるアレスとヒッサァのために支援の一手を捻り出し続ける。
ヒッサァの夜狐の面頬に、先だってナドラガンドの冒険を終えたユルールによってもたらされた毒素を防ぐマスクの技術が組み込まれていたのは実に幸いだった。
槍術と棍さばきを組み合わせ、防戦にも長けたヒッサァが最前線で霧を掻き分けマジェスドレアムと対峙し、魔神の絶技を耐え忍ぶ。

毒を避けるため、アレスの立ち位置が霧の外縁ギリギリとなってしまう点は、かつてアレスがブラオバウムとの修行の果てに生み出したフォースの付与(エンチャント)の御技の一つ、ピオラにストームフォースを付与し、高速移動を可能とする【音速の理力】を伴うことで補い、赤い霧の隙間や薄い部分を縫っては、マジェスドレアムの4本の腕から繰り出される嵐のような剣技、流石のヒッサァも受けきれない分をカバーし、更には隙を血眼で探して攻めに転じる。

しかし、唯でさえ鋼のように厚い皮膚に加え、その首にはおよそ邪神には不釣り合いな首飾りが下がっていた。
「…くっ」
剣が押し戻されるような感覚。
マジェスドレアムの首に揺れる竜のうろこの首飾りがアレスの剣撃を阻む。

「武具、防具は貴様らだけの特権ではない。モンスター共にはただ、使いこなす知能がないだけに過ぎん。世界という大きな敵に仇なす為、有意なものは使う。何でもだ」
「厄介なヤツ!」
嫌味の様な語り口に対して、マージンは舌打ちとともに吐き捨てる。
本来の邪神がこんなにも饒舌で狡猾だとも思えない。恐らくは融合した偽りのバズレッドの影響もあるのだろう。

いかにヒッサァとアレスとて、体力や集中力に限界はある。
凶刃の前に倒れるのも時間の問題に思える。
そんな、真綿で絞め上げるようにじわじわと敗北へ向かう状況を打破すべく、ブラオバウムは腹をくくる。
「既に合成魔法を2発。今宵の合成魔杖(キマイラロッド)は汗と涙の結晶とようせいの粉を沢山喰らって、程良く温まっています。コンディションは絶好調。命に代えても、活路を拓いて見せましょう」
ブラオバウムは杖を地に突き立て、両腕を掲げた。
其々にまとうは炎と氷を象る魔力。

「…識っている。その呪文を識っているぞ」
マジェスドレアムはブラオバウムが放つ鬼気迫る魔力の波動を苦々しく睨み付けた。
それは何時の悪夢の狭間か。
マジェスドレアムに至る以前、ダークドレアムとして数多の世界を滅ぼした記憶の中に幾度か垣間見る、触れれば必滅の呪文。

「この世界にも使い手がいようとはな」
識られていようとなんだろうと。
感嘆すらこもった言葉を漏らすマジェスドレアムに構わず、ブラオバウムは反発する魔力を無理矢理に手懐け、まるで弓を引くように振り絞る。

「まさかたった一人であの大技を!?」
海底離宮で見た攻撃呪文の極致。
その鮮烈な光景は、未だマージンとフツキの記憶にも新しい。
「流石に海底離宮のときより威力は劣るでしょうが…あれから私も研鑽を重ねてきたのですよ」
迸る魔力の奔流に自身の肌を裂き、鼻血を噴きながらも、ブラオバウムはなお魔力を練りあげるのだった。                      続く
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