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常闇のバシっ娘

レオナルド

[レオナルド]

キャラID
: QB020-044
種 族
: プクリポ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 131

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レオナルドの冒険日誌

2022-10-22 18:14:36.0 テーマ:その他

蒼天のソウラ二次創作『冒険者たちのエピローグ、あるいはプロローグ その7 ブラオバウム編』

「すまぬな。本来であればこのようなことを願い出るのは気が引けるのだが」
ゴオウと一戦交えるも興奮冷めやらぬいももちによる阿鼻叫喚が鳴り響くなか、両陣営の賢人は喧騒から離れた場所から二人、高みの見物を決め込んでいた。
「お気になさらず。魔力の枯渇した状態が落ち着かない気持ちは、私も良く分かりますから」
ピンクの髪を流す麗人は懐から小さな革袋を取り出した。

その中にひっそり収まるは、変異モンスターであるミスターガリックからわずかに手に入るふっくらにんにくを長期間高温で熟成した逸品。
さながらプルーンのように艶よく輝くバウム印の黒ニンニクの一欠片をブラオバウムはライセンに手渡す。見た目だけでなく、にんにくの刺激臭は熟成の間にすっかりとなりを潜め、わずかに齧れば迸る滋味の中に果物のような酸味や甘さすら感じる。

「コレをツマミにけんじゃのせいすいを煽るのが、最っ高にキクんですよね」
「同意する」
「ようせいの霊薬も悪くないですが、あれは空きっ腹で呑み込むと…」
「「胃にもたれる」」
「ふふ」
「くくくッ」

(不思議なものだな…)
ここに至るまでの仲間の犠牲を、教え子の無念を、勿論忘れたわけではない。
しかし今を生きるアストルティアの民たちへその怒りをぶつけることは違うのだと、ソウラ達に、何よりもライセンらが傷付けたアストルティアの民に目を開かされた。

「しかし、よく私がこれを持っていると推察されましたね」
「…その髪の色、城壁を抜かれた折に戦場で垣間見た。貴殿が極大消滅呪文(メドローア)の仕掛け人であろう?あれだけの術だ、回復の手立ても用意をしていると踏んだ」
「なるほど」
「その若さで…。恐れ入る」
「いやいや、呆気なく対策をとられてしまいましたしねぇ。ダンさんに止められてなければ、今頃私はここにいません。やはり、いけませんねぇ。どうにも私は、冒険者である前に、探求者なのです。学者気質が抜けないと言いますか、実践的な部分が疎かなきらいがありまして」
異なる2つの魔術から新たな魔術を生み出すことを生業とする魔法合成士ブラオバウムは、恥ずかしげに髪を撫でた。

「そうだ、実は私、貴方に伺いたいことがありまして」
回復も終えて、ぽんと手を叩きブラオバウムは切り出す。
「ふむ…?」
「端的に申し上げます。マホカンタの多段遠隔展開、その秘術を伝授頂きたい」
「………大きく出たものだ。しかし…若様のこと、そして貴重な食材を分けて頂いた恩もある…。口伝したとて、扱えるかどうかはまた…。うむ………一つ問おう。何のためか?」
「いやあ、屈折って、とっても可能性を秘めてるじゃあないですか」
「…ふむ?」
「マホカンタを応用して、自在に光の屈折を操れれば、お風呂の覗き見なんかも安全な位置からやりたい放題だなぁ、な~んて。アマセさんやマージンさんからも絡繰を探るよう頼まれまして」
貼り付いたようなにこやかな笑顔。
その瞳の奥は、魔導の真髄に至る果てしない道の如く、深い暗闇で真意を巧みに隠している。

「ふっ、くくく、ふははははははっ!」
流石は、四人がかりとはいえメドローアを成しえた男。
実のところ、聞くまでもなくライセンにはブラオバウムの目論見におおよその検討がついていた。

マホカンタを自在に操り、メドローアの魔力制御に用いようという魂胆に違いない。
仮に筒状の魔法反射壁でも展開できれば、確かに大きな一助となるだろう。
もしかすればもっとコンパクトな単位で、それこそ一人でメドローアを放つことすら可能になるかもしれない。
他に尋ねる理由など、考えようがない。

しかし胡乱な瞳は、徒に語ってみせたその不埒な動機が実は裏も表もなく真実なのだと思わせる魔力を秘めていて、ライセンを惑わせる。
こんなところで腹芸でも敗北を喫するとは、思いもしなかった。
とかく、アストルティアの民というものは若くして手強く、恐ろしい。
歴代の名だたる魔族の賢王、猛将が敗北を重ねるわけだ。
止まらぬ笑いを噛み殺すようにライセンは自らの極致を語り出す。

もはや二人の間に、魔族とアストルティアの民という隔たりはない。
同じく魔導を極めんとする者同士、話ははずんだ。
「…まずは………であるからして…」
「なるほどなるほど…」
「………その局面においては………に至り………と成る」
「まさかそんな!なんて大胆な発想!」

「お~い…置いていくぞぉ?」
日もすっかり傾き、ゴオウが呆れて声をかけるに至るまで、術師たちの語らいは続いたのであった。
            ~完 しかし冒険は続く~
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